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ロシア大統領府のペスコフ報道官はプーチン大統領の日本への到着が遅れた理由を説明する際、「シリア問題を含む執務日程のため」と述べた。「ロシア軍の総司令官であるプーチン大統領が国防省の主要な戦略策定を担う。よってシリア作戦の立案と実施が大統領との調整のもとで行われたのも当然のことだ」(RT掲載記事「ペスコフ報道官、プーチン大統領の遅刻を説明」、12月15日)
安倍首相は、南クリル諸島での共同経済活動は平和条約締結および諸島の返還に道を開く、と言う。「経済協力はロシア指導部にとってもロシア国民にとっても有益なのだ。それを進めることで諸島を手放すことに対する否定的受け止め方も変わる」というのが安倍首相の目算である。だからこそプーチン大統領訪日2日目となる16日は全日、経済協力がテーマとなっていた。総額3000兆円に及ぶ70もの合意文書に調印がなされた。ただし、日本側の提案したプロジェクトはいずれも米国とEUの対露制裁に抵触しないものとなっている(ラジオ「モスクワのこだま」掲載、東洋学者ワレリー・ゴロヴニン氏のブログ「諸島は日本を素通りして流れ去っていった」、12月17日)
経済面での中国抑止のためにも、また国家安全保障の強化のためにも、日本を誘致することがロシアにとって重要なのだ。日本のプレゼンスがあれば、中国の影響力を大幅に軽減できる。(「ネフスキエ・ノーヴォスチ」通信掲載、プレハーノフ記念ロシア経済大学政治学・社会学部准教授アレクサンドル・ペレンジエフ氏の記事「日本は極東において中国に対する競争のための環境を整えようとしている」、12月16日)
「特別な制度」の実例
南クリル諸島の主権を日本に譲渡する際には、多くの制限および特別な条件が伴いうる。そのことの好例がオーランド諸島だ(「ヴラスチ」誌、ロシア科学アカデミー極東研究所上級研究員ワシーリイ・カシン氏、「島々をめぐる友情」、12月17日)
プーチン大統領の訪日は外交的ブレイクスルーとはならなかったが、両者に対話への強い意欲があること、また両リーダーに、「平和条約締結は可能である、というある種のイメージ」があることを示すものとなった。これまで日本外務省は、諸島での経済活動はロシアの主権を認めることになる、との立場から、民間企業にこれを控えさせていたが、今や共同経済活動について両国の専門家が入念に議論をするようになっている(RBK紙、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所日本課長ヴィターリー・シュヴィトコ氏、「プーチン大統領訪日の成果はいかに」、12月16日)