内容になったのは、陛下がこの1年を振り返って感じられたことであった。今年、54年間ぶりに天皇陛下はフィリピンを訪問し、「両国の今日の友好関係は、先の大戦で命を落とした多くのフィリピン人、日本人の犠牲の上に長い年月を経て築かれてきました」と述べた。
さらに、「東日本大震災が発生してから5年を超えました。この5年間、皆が協力して復興の努力を積み重ね、多くの成果がもたらされてきました。しかし同時に今なお多くの人が困難をしのんでおり、この人々が一日も早く日常を取り戻せるよう、国民皆が寄り添い、協力していくことが必要と感じます」と振り返った。
これに先立ち皇居・宮殿で記者会見し、退位の実現に強い思いを示した8月のビデオメッセージの公表やその後の国民の受け止めについて「8月には天皇としての自らの歩みを振り返り、この先の在り方、務めについて、ここ数年考えてきたことを内閣とも相談しながら表明しました。多くの人々が耳を傾け、おのおのの立場で親身に考えてくれていることに、深く感謝しています」と語った。陛下がメッセージ公表後、退位問題を巡り、公の場で心境に触れたのは初めて。
日本政府は陛下一代に限って退位を認める特別法の整備に向けた作業を急ピッチで進めている。2018年の退位を想定し、来年1月召集の通常国会で法案成立を目指す構えで、年明けからの与野党論議が今後の焦点となる。
陛下の学友の明石元紹さんによると、陛下はメッセージ公表前の7月下旬、「将来を含めて譲位(退位)が可能な制度にしてほしい」と電話で打ち明けていた。共同通信が報じた。
そのうえ、陛下は記者会見でいずれも10月に亡くなった叔父の三笠宮さまや、タイのプミポン国王との思い出に触れたりする場面もあり、「年の瀬が近づき、この1年を振り返るとともに、来年が人々にとって良い年となるよう願っています」と語った。