これに対し、米国務省は、ジョン・キルビー公式スポークスマンを通じて「ロシアのハッカー」に関する報告書の中で証拠が示されていないのは、米国の諜報機関が自分達の情報源や仕事の方法を秘密にしておきたいと考えているからだと説明した。
その間、米国内においてトランプ次期大統領と対立する立場の人達は「トランプ氏はプーチンの米『大統領だ』、明らかにプーチンの選択であり、彼が作り上げたものだ«Donald Trump is Vladimir Putin's American "president" — clearly his preference and possibly his product»」と疑う雰囲気を煽っている。これは、新聞「ニューヨークタイムス」のコラムニスト、チャールズ・M・ブロウ氏の意見だが、彼は自分のコラムの目的も、次のようなコメントで明らかにしている-「ミスタートランプ、あなたの勝利は汚れている。あなたの合法性は、正当な疑問を呼び起こしている«Mr. Trump, your victory is tainted; your legitimacy is rightly in question»」。
国内政治対立の次のラウンドは、おそらく、次期大統領が各長官など国家の役職に選んだ候補者を、議会が討議する際、始まるだろう。民主党にとってこれは、トランプ氏と彼の政策チームが選挙中にした公約を激しく批判する新たなチャンスとなる。今月20日に予定されている宣誓式の後、トランプ氏にとって穏やかな日々がやって来るのかどうか。今のところ何も約束されていない。一方、民主党は興奮するあまり、トランプ氏の政治的評判を下げようと攻撃を止めないことが、彼の立場ばかりでなく外国での米国の影響力を弱めていることについて、頭をめぐらせていない。
米国内の社会的不平等、まさにそれが、多くの点で、トランプ氏の勝利を導いた。今や、トランプ支持者と反対者の間の政治的分裂、さらには新大統領とマスメディア、インテリジェンス・コミュニティ、知識人そしてマイノリティとの対立が、それ(社会的不平等)に伴って起きている。 ビジネス界、例えば、トランプ氏が批判しているグローバリゼーション政策と深い関係にある自動車会社の反応も明らかではない。こうした不安定な要素が、米国の同盟国でありかつライバルでもあるロシアや中国、EU及び日本の視界に入っていることは疑いない。
またトランプ氏が、大統領ポストの正当性に対する攻撃に、今度どのように答えてゆくかも、あれやこれやどちらの人達にとっても重要だ。また。彼がどのように、永続的な国内政治的対決により生み出された弱さを埋め合わせてゆくのかも重要である。形成された状況は、焦眉の国際問題を安定させないばかりか、かえって逆の結果をもたらす恐れもあるのだ。