競技プログラミングのコンテストは世界各地で開催されており、ロシア人、日本人とも好成績をおさめている。例えば全世界の大学生を対象にした2016年度ACM-ICPC国際大学対抗プログラミングコンテストでは、サンクトペテルブルグ大学チームが優勝した。東京大学もこの大会で3位になったことがある。また企業主催のプロコンもあり、その多くは競技を楽しむだけでなく、人材発掘の目的も兼ねている。自社コンテストの上位入賞者に「面接パス権」を進呈する企業もあるほど、優秀なプログラマーの確保競争は激化しているのだ。
日露プログラミングコンテストはAtCoder株式会社が作成した問題5問を制限時間二時間で解く個人戦だ。誰も解けない難問もあった中、東京大学の大学院生、杉森健さんが熱戦を制して一位になった。ロシア勢の中で最も良い成績だったのは、三位になったモスクワ物理工科大学の学生アレクサンドル・ゴロヴァノフさんだ。
ゴロヴァノフさん「貴重で面白い経験になると思ってこのコンテストに参加を決めました。日本に来たのは初めてです。日本はとても美しくて面白い国ですね。すごく大きいビルがあったり、背の高い信号機に待ち時間が表示されていたり、東京でエスカレーターの左側に人が立っていることなどが私にとっては驚きで、楽しんでいます。(編集部注:モスクワでは関西地方と同様、右側に人が立ち、左側は急いでいる人のために空けておく)まだ将来何になりたいかは考えていませんが、もし日本企業から仕事のオファーがあったら、もちろん検討します。ロシアでの生活状況にもよりますが、日本へ引っ越して働くということもあると思います。」
本コンテストの企画立案者であり、一年間かけて開催に尽力したユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン株式会社 UMJロシアファンド マネージング・パートナーの大坪祐介氏は、「日露青年交流といっても、ただロシア人を日本に連れてくるだけでは意味がありません。今まで交流のなかったジャンルで、将来のビジネスにつながることが見込める分野での交流を行いたいと思い、今回の開催につながりました。第二回は、ロシアで行いたいと考えています。予選をして参加者を選抜したり、日露をチームに分けて全参加者の得点合計で競うなど色々な方法を取り入れていけば、更に全体のレベルも上がっていくでしょう」と話す。
ロシアから来た学生たちはコンテストに参加するのみならず、IT企業やメーカーを訪問するなど、日本に対する見聞を広める予定だ。コンテストの前後では、高校生の参加者が物怖じせずロシア人と交流する様子も見られた。今後、より若い世代の日露交流が活発になり、IT分野での協力が盛んになることが期待できる。
コンテストの前夜祭にて、高校生参加者の皆さんがインタビューに答えてくれました。以下の動画をご覧ください。
(おまけ)日本で開発されたプログラミング言語を使って仕事をしているロシア人プログラマー、アンドレイ・ノヴィコフさんのインタビューはこちらをお聴きください。流暢な日本語のインタビューです。