コロレヴァ氏は、これが今の現実であり、トランプ大統領は今日、リスクを取るだけでなく、全てのリスクと利点を計算できる成功したビジネスマンとして、新大統領として重要な決定を取る時にこの現実を考慮していると指摘して、次のように述べている。
「トランプ大統領は米国市場保護だけに携わることを決めた。この決定が最初に確認されたのは、世界最大の経済国、米国のTTP離脱だ。
ホワイトハウスでの大企業の代表らとの初めての会談でトランプ大統領は、海外に生産拠点を移している米国企業に非常に高い関税をかける意向だと再び警告した。彼らが生産する製品は関税が課された形で米国に輸出されることになる。つまり、トランプ氏はメーカーらの米国への本国復帰を目指している。このためTTP離脱は自国で雇用を創出するためのこのシステムによくマッチする。他方でトランプ氏は、米国で生産拠点を作ろうとする企業には逆に、政府は税制の優遇策を図ろうと約束した。そのため他国は、巨大極まりない米国市場における自らの立場を大きく失う危険性がある。」
こうした状況で日本の投資家が危惧しているのは貿易戦争だ。しかも不安定で高値に振れることが多い円相場によって日本の投資家は極めて不利な状況に置かれているとして、コロレヴァ氏はさらに次のように指摘する。
円高に日本の輸出業者はあえいでいる。現時点で、日経平均下落は続いている。そして下落は約0.4%と極めて僅かではあるが、圧力が保たれていることを物語っている。それゆえ、投資家は新たな信号を待ちながら買いを控えている。コロレヴァ氏は現在の下落は株式の広い範囲に関わるためと分析し、さらに次のように語っている。
「下落したのは何より、アジア系の輸出企業や巨大メーカーの株式だ。中には三菱自動車が3.1%下落、マツダ自動車が2.5%、日産自動車が1.5%下落。日経平均株価の下落全体は僅か0.4%から0.6%減のみなのに対し、輸出メーカーの下落は1.3%から3.5%。これは非常に大きい数字だ。下落したのは他に銀行と保険会社。つまり、下落したのはビジネスや政府のサービスに注力している企業だ。結論として、日本や世界の投資家は、トランプ大統領は国際貿易上の制限に関する自身の約束の多くを履行する可能性があると考えていると言える。そして、その場合、日本企業はもちろん損害をこうむるだろう。」
議会と党の圧力にかかわらず、トランプ大統領は米国経済保護の路線を押し通すだろう。そして世界の全てのリーダーたちは現在、この新たな現実と生きることを余儀なくされる。