だが学生は歌詞を忘れてしまった。そこでプーチン大統領は自ら口ずさんで学生に歌詞を教え、サポートした。ロシアの全てのマスコミがこの様子を伝えた。翌日の26日には、お祝いのコンサートや「メドヴーハ」と呼ばれる蜂蜜酒を振舞う待ちに待ったイベントを含む非公式の行事が行われた。
試験に良い成績で合格した学生たちが、モスクワ大学のヴィクトル・サヴドヴニチイ学長から「メドヴーハ」の注がれたグラスを受け取れるのは、この「タチヤナの日」だけだ。サヴドヴニチイ学長は70年間途切れていた学生たちの伝統「タチヤナの日」のお祝いを復活させ、1992年に「メドヴーハ」(蜂蜜を基盤とした低アルコール飲料。甘いビールのような味がする)を飲む伝統を取り入れた。
サヴドヴニチイ学長は、「タチヤナの日」にメドヴーハを飲む伝統がどのようにして生まれたのかについてよく語っている。学長は26日にモスクワ大学本館の道路を挟んだ向かい側にある大学図書館のロビーでメドヴーハが振舞われた時も「他の国々では、例えばドイツのドレスデン大学ではこの日、互いをプールに投げ合う。だが私は1月25日は寒いかもしれないし、プールに常に水があるわけではないと考えた。そこで私たちは、ロシアの伝統的な飲み物のメドヴーハをハーブ入りで用意することを思いついた」と語った。
学長はメドヴーハが入った大きなコップを飲み干し、学生たちにメドヴーハを振舞い始めた。
メドヴーハ用の蜂蜜は毎年購入される。「タチヤナの日」に合わせてモスクワ大学の学食の料理人たちが400リットルのメドヴーハを毎年つくる。だがサヴドヴニチイ学長によると、レシピを知っているのは学長だけで、誰にも明かされることはなく、これは「モスクワ大学の大きな価値だ」という。
ロシアの伝統的な飲み物メドヴーハを、「スプートニク」のアンナ・オラロワ記者も学生たちと一緒に味わった。