議会で記者団を前に、潘氏は「政治エスタブリシュメントの一部の、時代遅れのあまり賢くない、利己的な立場に、極めて失望した。そのため、彼らと共に歩んでゆく意味はないとの結論に達した」と述べた。氏の言葉によれば「私の誠意に満ちた愛国主義と希望は、殺人行為にも近い、ひどい中傷や様々な偽情報にさらされた」とのことである。そう述べることで潘氏は、韓国内の汚い政治ゲームでプレイする事に自分自身、到底耐えられないことを示唆した。
しかし、これは同時に、有権者の同情を呼び起こし、急速に勢いを増している韓国大統領選挙で、更なるポイントを加えるための、潘基文氏の、やむを得ない戦略的アプローチではないだろうか? あるいは前国連事務総長は、絶対的な誠意を持って韓国政界に戻ってきたが、もう戻らないという事なのだろうか?
スプートニク日本のタチアナ・フロニ記者は、ロシア科学アカデミー経済研究所アジア戦略センターの所長で、朝鮮問題の専門家ゲオルギイ・トロラヤ氏の意見を聞いた-
潘基文氏には、韓国の実に様々な政治勢力をまとめ、その頭となるよう提案がなされ、その支持率は、少なくとも野党候補と戦えるものだった。今後韓国の政治状況はどう変わるのか? 残った候補者には、いかなるチャンスがあるのだろうか?
世論調査では、大統領候補者として、一番支持されているのは野党陣営の候補、文 在寅氏だ。そのため専門家の中には、潘基文氏の出馬取りやめ決定には、マスメディアによる汚職報道以外に、世論調査の結果も影響を与えた可能性があると考える向きもある。潘氏には、かなりの国際経験と政治的な重みがありながら、最大のライバルである文氏は、着実に彼との差を広げてきたからだ。最近の調査結果では、文氏と潘氏2人の一騎打ちになった場合、文氏は52,6%、潘氏はその半分以下の25,6%の票を獲得するとのことだった。 とにかく潘基文氏が大統領選挙から自主的に撤退したおかげで、来るべき選挙戦における、文 在寅氏の立場は、さらに強固なものになったと言ってよいだろう。