稲田氏は南スーダンの情勢について「武力衝突という言葉を使っている」と強調。これに対して民進党の後藤祐一氏は「戦闘なのに武力衝突だと隠蔽している。辞任を要求する」と迫った。
稲田氏は「日報には『戦闘』とあったが、南スーダンでは法的な意味での『戦闘行為』はなかった」と繰り返した。後藤氏は反発、審議はたびたび中断した。
前日8日の予算委で稲田氏は、海外での武力行使を禁じている憲法9条を念頭に「(戦闘行為が)行われたとすれば9条の問題になるので、武力衝突という言葉を使っている」とも答弁していた。
社民党の吉田党首も9日の記者会見で、稲田氏の辞任を求めている。これに対し、菅官房長官は会見で「稲田氏は政府としての認識を説明している」と述べ、辞任要求を拒否した。
防衛省が7日に公開したPKOの日報の一部は陸上自衛隊第7師団中心の第10次隊が活動していた昨年7月11、12日分。首都ジュバでは同7日からキール大統領派と反政府勢力の対立が再燃し、8日の激しい戦闘で270人以上が死亡。日本では安全保障関連法に基づく新任務の駆け付け警護などの任務付与を巡る議論や、紛争当事者間の停戦合意などを条件としたPKO参加5原則が崩れているとの指摘が出ていた。
別の項目では、政府軍側の行動にも懸念を示し、国連施設方向への攻撃に「引き続き注意が必要」と記載。「自衛隊宿営地への流れ弾や市内での突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要」とも報告、危機感を抱いていたことがうかがえる。在留邦人の動向に注意を喚起する記載もあった。