天下りは汚職の温床なのか?

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2007年、日本政府は、天下りが汚職の温床であるとして、法改正による天下り根絶を試みた。しかし、最近になって2013年の内部文書の内容が公開された。そこには、今後も官僚OBの嶋貫和男氏が天下り制度を維持していけるよう、彼のために人員を派遣してほしいと記載されていた。

官僚らは自分たちの管轄下にある企業の幹部と事前に関係を築いておき、後にその企業に顧問やナンバーツーとして採用してもらっていると考えられる。果たしてこれは日本が根絶しなければならない問題なのだろうか?それとも、汚職とは何の関係もない、元国家公務員のための「一種のパラシュート」に過ぎないのだろうか?スプートニクは政治学者で国際関係専門家、日本研究者のドミトリー・ストレリツォフ氏に解説を求めた。

ドミトリー・ストレリツォフ氏は言う:

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「この現象は、日本では高級官僚の異動のテンポがかなり早いということに関係しています。国家公務員という官僚体系の中で昇進の見込みがない人に、何らかの人事登用の可能性はないかという問題が生じるのです。国家公務員の体系というものは、レベルが上がれば上がるほど、役職の数は少なくなるようにできています。そのため、一部の官僚はかなり若い年齢(50歳くらい)で民間企業に移るのです。これは官僚の大半には関係のない話で、上層部の高級官僚の話です。天下りの慣習は昔から存在していましたが、あるとき、約10年ほど前に、第1次安倍内閣によってこれに一定の規制がかけられました。同内閣は、官僚が自分の管轄していた部門の民間団体に移る場合、2年間の猶予を設けなければならないと決定しました。そもそも日常レベルでは、汚職は日本人のメンタリティーに馴染まないものであるため、これがおそらく唯一の汚職規制です。しかし、現安倍内閣は、この規制も廃止しようとしており、国会で議論となっています。」

しかし、どうして今になって、賛成か反対かという論拠が聞かれるのだろうか?

「高級官僚はエリートだと日本の世論は考えています。その一方で、国家公務員はキャリアを極めるのに膨大な努力を必要とするにも関わらず、民間のビジネスに比べて、それほど給料が高くありません。ですから、国家公務員にとって民間企業に移ることは、ある意味で不公平の是正なのです。高級官僚が民間企業に移って高い役職に就くというのは、国家公務員時代に受け取れなかった不足分を、残された時間で補填するという意味合いがあります。ですから、世論はこれを汚職だとは見なしていないのです。」

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では、どうして天下り問題が定期的に日本のメディアで取り上げられるのだろうか?どうして現在に至るまで、天下りに汚職の要素があるのかないのか、明確な定義がないのだろうか?それとも、日本の汚職は別の場所に潜んでいるのだろうか?ドミトリー・ストレリツォフ氏によると、原因はこの現象の曖昧さにあるという:

「官僚が民間企業に移ろうとするとき、退職前にその企業を何らかの形で特別扱いし始めるのが当然だと思われます。ですから、官僚がその企業に便宜を図る危険性があります。まさにそれが理由で、先に述べた天下り規制があるのです。しかし、現状を全体的に見ると、いくつかの個別の噂があり、それが国会の審議の対象になったに過ぎません。つまり、天下りがあるからといって、日本が汚職国家になってきていると言うことはできないのです!」

日本に何らかの形で汚職があるとすれば、それはまず何よりも、天下り現象ではなく、不透明な入札とリベートのシステムに関連したものであり、かなり不透明でグレーな国家調達システムに関連したものであると、ドミトリー・ストレリツォフ氏は考えている。

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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