純増数の内訳を見ると、EU加盟国出身者は16万5,000人と1年前から6,000人減少。特に中東欧8カ国からの出身者が2万2,000人減った。また、非EU加盟国出身者は2万8,000人縮小し、16万4,000人にとどまった。
英国への流入人口は全体で59万6,000人と、前年から2万3,000人減少。うちEU加盟国出身者は1万2,000人減って26万8,000人だった。一方、非EU加盟国出身者は25万7,000人で、1万8,000人減少した。
目的別に見ると、就労が全体で29万4,000人と1年前から5,000人増加。うち明確な就職先が決まった上で来英した人は19万人と過去最高に達し、就職活動を目的に来た人は10万4,000人だった。留学生は13万4,000人で、4万1,000人減っている。
■難民申請、減少に転じる
難民申請件数は2016年通年で3万8,517件と、前年から4%減った。2010年以降で初の減少に転じ、ピークだった2002年の10万3,081件の3分の1強にとどまった。国別ではイラン(4,792件)が最も多く、これにパキスタン(3,717件)、イラク(3,651件)アフガニスタン(3,094件)、バングラデシュ(2,234件)が続く。シリア難民の申請件数は1,588件で、43%縮小した。
英国からの流出人口は2016年9月までの1年間で32万3,000人と、前年から2万6,000人増加した。
ONSは今回、ルーマニアとブルガリア出身の移民純増数が引き続き増えたことから、離脱決定が移民数に与えた影響を図るのは時期尚早としている。
英政府はかねて、移民純増数を年間10万人以下に削減する目標を掲げている。メイ首相は先に発表した「EU離脱白書」の中で、EU単一市場から撤退し、移民制限や主権回復を優先する「ハード・ブレグジット」を選択すると表明。EUとは自由貿易協定(FTA)を含む戦略的パートナーシップを新たに結ぶ方針だが、EU側は一貫して、ヒトの自由な行き来を認めない限り、単一市場への自由なアクセスを容認しない構えを見せている。共同通信系列のヨーロッパ経済ニュースが報じた。