ライマン氏は、冷戦終結時からNATOは深刻な「アイデンティティの危機」に直面していると考えており、ワルシャワ条約機構崩壊後、NATOは「過去の遺物」となり、時宜を得たNATO解体は平和に関する西側諸国の最も大きな貢献となるだろうと強調している。
またライマン氏は「歴史の中で一度だけ我々には皆で軍縮を開始し、包括的な非軍事化に着手するチャンスがあった」との考えを示している。だがNATOは『平和的』な道を拒否した。これはNATO加盟国が世界の軍事費の60%を占めていることで証明されているという。
ライマン氏はまたNATOの東方拡大について、これは「民主主義あるいは自由主義の価値の保護とは何の関係もなく」、攻撃的な性格を有していると指摘している。また同氏は、NATOは「東へ行かない」というドイツのハンス=ディートリヒ・ゲンシャー元外相と米国のジェームズ・ベーカー元国務長官によるソ連指導部への約束について言及している。1990年代末までに、口頭による合意ではなく、国際文書でゆるぎないものとする必要があったことが明かとなった。