この微笑ましい出来事は、単にそれだけで終わるかに見られたが、このビデオを見た人達の多くが、マスコミも含めて、教授の妻を初めから乳母と考えたことについて、BBCニュースのヘリエ・チュン記者(中国系英国人)は、そこにアジア人女性の役割に関する独特の思い込みや偏見があるのではないかと問題提起し、新たな御論が巻き起こった。
ロシアでも最近、フィリピン人の乳母を雇うケースが増えており、こうした思い込みは、決して他人事ではない。 意識的、無意識的な偏見が時に浮上する時がある。
ヘリエ・チュン記者によれば、 日系研究者のクミコ・トダさんは、英国育ちでなまりのないきれいな英語を話すにもかかわらず、初対面のほとんどの人に必ず「どこ出身ですか」と尋ねられるという。トダさんは次のように述べている-
「白人の友人たちと、通りすがりに受ける嫌がらせについて話していたら、お互いの経験はかなり違ったものだった。彼女たちは私ほど、赤の他人にからかわれていなかったし、からかわれても、見下されるようなことはあまり言われていなかった。不愉快には変わりなくても、内容が違っていた。私の人種と、東アジアの女性は従順だというイメージが、私が嫌がらせを受ける頻度やその内容と関係しているのだろうか。」
BBC記者は、こうした例や韓国の助教授夫人をめぐる出来事について「人は同じ人種同士で付き合うものだ」という意識的、あるいは無意識な思い込みがあるのかもしれない」と指摘している。
英国人助教授の韓国人妻に対し、彼女は乳母だという思い込みは、白人中心的な偏見だという指摘もある。一方、今回の出来事は、各人が自分の中にある思い込みを再点検する良い機会だという意見もある。
ただBBC記者が指摘するように、 人種に関する思い込みは、一方通行とは限らない。
韓国でも、乳母として働くフィリピン人女性は、差別を感じることがあるし、英国人が米兵と間違われ、タクシーに乗せてもらえない場合もあるとのことだ。