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ロシアが実効支配する南クリル(北方領土)で、日本の主権を害さない形で活動できる「特別な制度」(首相)についても意見交換した。本格的な議論は次回以降に行う。日本は個別案の具体化を先行させ、領土交渉進展への環境整備としたい考えだが、ロシアは自国の法制度下での活動を主張するなど双方の立場に開きがあり、曲折が予想される。
岸田外相は18日、訪問先の福島市で記者団に「具体的な成果が上がることを期待する。首相の訪ロにつなげていきたい」と語った。
協議には秋葉剛男外務審議官とモルグロフ外務次官が出席。秋葉氏は「双方の法的立場を害さないという原則に立ち、共通目標の平和条約締結に向けて前進したい」と強調。モルグロフ氏は「ロシアの法律に矛盾しない条件で実施しなければならない」と述べた。
日本側は、先端技術を使った予防医療や遠隔診療の基盤整備、観光船での4島ツアーなどを示したとみられる。ロシア側は古い住宅の建て替え事業も提案した。元島民による4島への墓参に関しては、航空機利用など利便性向上を図ることで一致した。次回会合はモスクワで開催する。日程は今後調整する。
秋葉氏は協議後、記者団に「提案には一致する点も多くあったが、何か決まったという段階ではない」と述べ、具体的内容は明かさなかった。