トランプ米大統領へのイヴァンカさんの影響力は本当に大きいのか?

© AFP 2023 / Brendan Smialowskiトランプ米大統領へのイヴァンカさんの影響力は本当に大きいのか?
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米国のトランプ大統領の長女イヴァンカさんの意見は、米国の指導者にとって決して少なくない影響力を持っている。すでに知られているように、彼女はホワイトハウスに自分の席を得ることになる。公式的な国家的役職ではなく給料も受け取らないが、イヴァンカさんは、幅広い諸問題に関し父のアドバイスをすることになるだろう。雑誌Politicoは、そう伝えている。

イヴァンカ・トランプさんは、絶えず人々の注目を浴びるようなことには慣れてはいない。35年間、成功した企業人として活動し、輝かしい学歴を持ち、父の会社でキャリアを重ねてきた。

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しかし米大統領が下した政治的決定に、一体娘の影響力はどれくらいあるのだろうか? トランプ氏は、大統領選挙キャンペーンの間もそうであったように、マスコミと「戦い」続け、米国のいくつかの主要マスメディアのジャーナリスト達を偏見を持って報道していると非難している。新聞雑誌やトランプ氏に反対する人々の攻撃は正当なものなのだろうか? スプートニク日本のタチヤナ・フロニ記者のそうした問いに、雑誌「グローバル政策におけるロシア(Russia in global politics)」のフョードル・ルキヤノフ編集長は次のように答えてくれた-

「米国では、家庭内のことにおいて政治家を非難する事は受け入れられない。なぜならあらゆる政治エリートは、 その一族による一種の王朝の原則によって築かれているからだ。 クリントン家しかり、ブッシュ家、ケネディ家も同様である。ヒラリー・クリントンは、自分の夫が大統領になった後すぐ上院議員となり、その後彼女自身も、大統領への道を進んだ。そうした事について誰も、苛立ちや驚きを感じていない。相続という言葉の直接的な意味とはもちろん違うが、自分の父や叔父の伝統を受け継ぐという形で、そのポストを得た議員達の数は極めて多い。そうした事が法律に違反しておらず、汚職とも関係がないのであれば、トランプ氏には、どのような人物であれ自分の顧問官にする権利がある。もちろんその事で、大統領を『咬もう』とする試みはあるだろうが、それは偏見の結果であり、現実的理由によるものではないだろう。」

​イヴァンカさんは、自分の父の選挙キャンペーンにおいて主要な役割の一つを演じた。しかし何のためにトランプ氏は、まさに今、選挙に勝利した後も自分の娘を政治の表舞台に引っ張り出したのだろうか? その主な理由の一つは、トランプ氏が極めて好ましくない人達に囲まれて働かなくてはならないという状況からきている。彼は率直なところ、自分を取り巻く人達を信用していない。ここで再びルキヤノフ編集長の意見を御紹介したい-

「トランプ氏は、個人企業家によくあるように、共同作業に関してのみならず血縁面でも信頼する近しい人達に頼ることを良しとする考えを持っている。一方イヴァンカさんは、自分の考えをしっかり持ち、公の場で振る舞うことができる大変華やかで活発な若い女性だ。それゆえ多くの人達は、イヴァンカさんが実際上、極めてよく準備された女性だと考えている。ファーストレディを含め、そうした役割を務める女性として、メラニア夫人よりむしろ、娘のイヴァンカさんの方がふさわしい。特にメラニア夫人が、ワシントンに自分は移らないと決めた後、そうした見方がはっきりした。」

イヴァンカさんも、あらゆることから判断して、ファーストレディの義務を引き受け、各国元首などとの会合や公式行事でホステス役を果たすことに反対ではないようだ。例えば、イヴァンカさんが、父と共に、日本の安倍首相やドイルのメルケル首相との会談に同席した事は、多くの人にとって思いがけなかった。

イヴァンカさんは、トランプ氏の極めて激しい公的発言を、うまく和らげてきた。そうした事で、彼女は、自分には父の暴走を抑える事ができる影響力のあることを証明した。彼女は、父を監督するばかりでなく、女性の権利や自然保護の諸問題に関し、父の立場を変えることにも成功した。例えば、大統領選挙戦の最中、トランプ氏は、気候変動に関するパリ合意を支持せず、当選の暁には合意への米国の参加条件を見直すと約束していた。しかし娘の説得により、父はそうしなかった。この事はすでに、新聞The Wall Street Journal.が満足を持って報道している。

トランプ大統領は、娘に対する称賛を隠していない。自分のTwitterの中で、イヴァンカ・ブランドの衣料品の販売ネットワーク排除をめぐるスキャンダルに対する娘の対応について「マスメディアによるあらゆる攻撃や妨害にもかかわらず、娘は顔を挙げて堂々と前へと進んでいる」と褒めている。

​政治指導者の娘が、自分の父の仕事を受け継いだ例はかなりある。成功した例もあるし、あまりうまく行かなかった場合もある。

例えば、フランスの政党「国民戦線」の現リーダー、マリーヌ・ル・ペン氏は、同党の創始者で初代党首のジャン=マリー・ル・ペン氏の第3女だ。彼女は、自分の父が作った政党をフランス政界で重みを持つ政治勢力に成長させることに成功した。彼女は「国民戦線」の路線を見直し、もっと穏健でより多くの保守的有権者に受け入れられるような存在に変えた。マリーヌ・ル・ペン氏は現在、フランス大統領選挙の有力候補者の一人とみなされている。

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この他、ソ連邦崩壊後の中央アジアでも、ウズベキスタンの指導者、カリモフ大統領の長女、グリナラ・カリモワ氏が 政治に挑戦したが、こちらはうまく行かなかった。2014年、彼女は政治の舞台に登場した時同様、あっという間にそこから滑り落ち失脚した。ウズベク検察が、公金横領で刑事告発するため調査を始めたのだ。この犯罪には、彼女と共に若い政治家数人も関与していた。彼女は、強権的圧力に苦しむ野党勢力の代表になろうと試みたが、自分の周りに、幅広い支持者も国のエリート層も引き付け一つにまとめることができなかった。

権力の世襲という観点から見れば、極東にも幸せな、そして不幸な例が存在する。南北朝鮮だ。両国は政治的には全く対極にあるが、両国には親の権力を受け継いだ指導者がいたし今もいる。北の指導者キム・ジョンウン氏は、この国の支配政党である朝鮮労働党の創設者キム・イルソン氏の孫であり、父のキム・ジョンイル氏もこの国のリーダーを務めていた。一方南、つまり韓国では、東洋的な強権的政治手法で新欧米的な経済改革を成功させたパク・チョンヒ氏の娘、パク・クネ氏が大統領となった。しかし彼女は、つい先日、皆さんも御存知のように弾劾され、そのポストを去っている。

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