日本は拉致被害者救出のため「進軍」を計画する価値があるか?

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北朝鮮の秘密工作員による日本市民の拉致問題は、今年初め、全く意外な側から突然提起された。もしその目的が拉致被害者救出である場合は、北朝鮮に自衛隊を派遣すべきだとの意見が、日本の世論の一部から出されたのだ。

スプートニク日本

今年2月20日、拉致問題を担当する加藤 勝信内閣府特命担当大臣は「拉致被害者の親族は、政府に対し、今年の末までに被害者達を救出するよう求めた」と伝え、同大臣は「日本政府は、できるあらゆる措置を講ずる用意がある」と約束した。この発言があってからほぼひと月後、新潟県内で、ティルト・ローター機のMV-22オスプレイを用い、日本の海兵隊員も参加した日米合同の上陸作戦演習が行われた。3月15日にスプートニク日本のサイト上にアップされた論文では、この演習について、北朝鮮での戦闘行動にむけた自衛隊の準備とみなしても過言ではないと指摘されている。

この論文は、ユーザーの間で大きな反響があり、サイト上の書き込みには、日本は拉致被害者救出のために自衛隊を派遣すべきではないかといった考え方もあった。こうした意見を考慮すれば、加藤内閣府特命担当大臣の発言は、私の見るところ、もし然るべき口実が見つかれば、北朝鮮に対する軍事作戦を日本政府が選択する道義上の心づもりがある事を反映しているように思える。とにかく日本の世論は、そうした事に向けた用意ができているようだ。すでに2013年には、拉致被害者救出を求める首相へのメッセージには、1080万以上の人々の署名が集まった。

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これまで北朝鮮の秘密工作員による日本市民の拉致問題は、外交的手段のみで解決が試みられ、多少の成果を収めることができている。2002年、当時の北朝鮮の指導者金正日氏は、日本側が示した17人のリストのうち13人を拉致した事実自体を認め、拉致被害者5人と、彼らの子供を含めたさらに家族5人が日本に戻った。なお北朝鮮側は、さらに8人については、すでに病気や災害などにより亡くなったと回答している。こうしたひどく微妙な問題に対する責任を北朝鮮に認めさせること、それが、日本外交が達成すべき最優先の課題であることは議論の余地がない。

しかし日本政府は、更なる交渉を拒否し、拉致被害者の死に関する証拠を偽物だとして北朝鮮を非難し、被害者の帰還と日本人拉致に関与した容疑者の引き渡しを一層声高に要求し始めた。そして北朝鮮非難キャンペーンが開始され、制裁が導入された。筆者には、こうした行動が、解決に近づいていた問題を恐らく完全な袋小路に追いやったのではないかと思われる。一方北朝鮮指導部は、もし拉致の事実を認め、生存する被害者を帰還させ他の人達についての情報を提供したことが、この問題の火に油を注ぐ結果となり、貿易制裁さえもたらしたのであれば、今後この問題をめぐり協力してゆく意味が果たしてあるだろうか?との論理に従っている。

北朝鮮に親族を拉致された方々の切なる希望は痛いほどわかるし、北朝鮮によるミサイル実験、そもそも北朝鮮当局の核ミサイル・プログラムの存在自体に強い怒りを感じる日本人の気持ちもよく理解できる。しかし、拉致被害者帰還の願いがいかに大きく、そうした罪を犯した北朝鮮を罰するべきだとの思いがどんなに強くても、日本政府には、双方に数多くの犠牲者を生む恐れのある軍事作戦を試みないよう、良識を十分に持ってほしいと筆者は願うばかりだ。北朝鮮の沿岸部は、防衛に向けかなり強力な準備がなされているし、朝鮮人民軍は、様々なデータがあるが、その兵員数は140万から380万と見積もられており、ロケットランチャーを含め、装備もそう悪くない。それゆえ北朝鮮への「進軍」は、日本にとって、拉致被害者の何倍もの数の負傷者や捕虜をもたらすものに変わる可能性がある事を忘れてはならない。

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