米副大統領と「ロシアのハッカー」

© REUTERS / Brennan Linsley, Fileジョー・バイデン氏
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欧米諸国では米仏大統領選挙、ドイツの議会選挙におけるロシアの介入について討論が交わされている。オランダでは「ロシアのハッカー」を危惧して、開票が手作業で行われた。また、ロシアでもちょうど1年後には大統領選挙が行われる。プーチン大統領も、外からの介入を危惧すべきなのだろうか?

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欧米諸国では米仏大統領選挙、ドイツの議会選挙におけるロシアの介入について討論が交わされている。オランダでは「ロシアのハッカー」を危惧して、開票が手作業で行われた。また、ロシアでもちょうど1年後には大統領選挙が行われる。プーチン大統領も、外からの介入を危惧すべきなのだろうか?

2011年3月、先のロシア大統領選挙の1年前、当時のバイデン副大統領がモスクワを訪れた。公式スケジュールに加え、バイデン氏はロシア野党のリーダーらとも顔を合わせた。このような会談は常に、米政治家のロシア訪問行程表に含まれていたが、その時にバイデン氏が行った発言は、ロシア政権への圧力以外の何物でもないと受け止められる内容だった。

有名なロシア野党政治家ガルリ・カスパロフ氏は自身のブログで、「バイデン氏は、(当時の)プーチン首相との会談で、次の任期出馬は不得策だと伝えたと、率直に述べた。ロシアはプーチン氏に疲れており、この疲れは強まっていき、必ずやアラブ世界で起きていることと同様の出来事を引き起こすだろうと言ったというのだ」と書いた。その後、カスパロフ氏はこれを記者団に明かしたが、その際にバイデン氏は当時のプーチン首相の反応については語らなかったと指摘している。

他にこの会談に出席したロシア共産党のニーナ・オスタニナ党員は『コメルサント』紙に、バイデン氏が語ったことを次のように確認した。

「バイデン氏は、プーチン氏が首相であることと、大統領であることは別の問題だ。大統領としてのプーチン氏との関係は別のものになると言った。」

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よく知られた野党政治家ボリス・ネムツォフ氏は、バイデン氏はプーチン大統領との会見後に野党政治家との会談に訪れ、「自分がプーチン首相だったなら、大統領選挙には出馬しないだろう」と述べたと主張した。つまり、米国の副大統領は実質、米国が大統領選挙へのプーチン出馬に反対だと、野党に対して率直に述べたということになる。バイデン氏が表明したこの立場は、当然、実践されねばならなかったはずだ。

米政治メディア「ポリティコ」の最近のインタビューを受けて、マイケル・マクフォール前駐露米大使は、外交官の通常業務の枠外に出たことは一度もないとして、「私は米政権の政治家の枠内でのみ行動していた」と述べた。この文脈で、元駐露米大使を務めた経験を有す当時の米国務次官のウィリアム・バーンズ氏によるモスクワ訪問も検討できる。この訪問は2012年大統領選挙まで1ヶ月を切った、反政権デモが行われていた時点に実施され、スキャンダルを呼んだ。訪問の主要部はプーチン氏の対抗相手との会談になり、大統領選挙の3ヶ月前に行われたロシアの議会選挙に対する、当時のヒラリー・クリントン国務長官の批判に沿ったものだった。

当時のプーチン首相は、「私は我々の米国のパートナーの最初の反応を見た。最初に米国務長官がしたことは、選挙が不誠実で不公平だと声明することだった。欧州安全保障協力機構(OSCE)の民主制度・人権事務所(ODIHR)の監視団の資料すらまだ受け取っていなかったのにだ」と述べた上で、自分自身はその選挙にはいかなる評価も与えないと述べた。

さらに、「彼女はロシア国内の幾人かの活動家に影響を及ぼし、信号を与えた。彼らはこの信号をキャッチし、米国務省の支援のもとで活発な活動を始めた」と指摘した。

当然、これはメディアの報道によって目立った氷山の一角にすぎない。前回のロシアの大統領選挙への米国の介入の詳細な歴史は格段に広範で、米国務省は反プーチン支援のための費用見積もりさえ行っており、その額は数億ドルとも試算されている。そのためロシアの米選挙介入や、「ロシアのハッカー」がプーチン大統領の反撃だとの推論は、まだ証明する必要がある。

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