メドベージェワ選手 「氷の上では私は人ではないのです」

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どんなスポーツでも本番でどれだけ力が出せるかは誰にもわからない。世界記録2つを塗り替えるほどのエフゲニア・メドベージェワ選手の演技は非の打ち所がないものだったが、ロシアから出場のほかの女子シングル選手は今回、まさかの大失敗だったからだ。

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メドベージェワ選手が滑ったのはアンナ・ポゴリラヤ選手の大失敗の直後だった。ポゴリラヤ選手はコーチの肩にもたれて号泣。こんな場面を見たら、しかもロシア代表団のパートナーであり、友人でもあればなおのこと、動揺しない人はまずいない。だがメドベージェワは違った。彼女はただリンクに出て行き、やるべきことをやり遂げ、ショートプログラムでもフリーでも世界新記録を樹立して勝った。ロシアのTV局「RT」が優勝後のメドベージェワ選手にとったインタビューには、なぜ彼女が全く動揺を見せなかったか、その秘密が隠されている。

「みんな、どうもありがとう。演技にはとても満足しています。みなさんにもご満足いただけたならうれしいです。開始前の滑りでは少し心配がありましたが、気を落ち着かせ、演技に入りました。普通私は場所や評価、記録のことなど考えず、ただ間違いない滑りを見せ、できる限りを尽くそうと思うんです。」

「ポグリラヤの涙? ええ、リンクで何があったかは見ていました。でもこれに邪魔されることは全くありませんでした。試合に入る前、私はしばらくの間耳が聞こえなり、何をいわれても聞こえなくなるんです。それだけ自分自身の中に閉じこもるからです。

あるときわかったんですけど、私はリンクの上では人ではなく、スポーツマンなんです。感情に身を任せる権利を持ちません。出て行って、自分の仕事をする。自分に完全に集中せねばならないんです。

つまり一瞬、何かを目にしても、次の瞬間、これを忘れてしまったんです。正直いって、嬉しくて泣いているのか悲しいからなのかもわかりませんでした。それに今も、誰がどう滑ったか知りません。今日、ホテルの部屋に戻って、選手権の結果を見ます。」

メドベージェワ選手の精神力の強さ、将来性には先日引退宣言をしたばかりのロシアのエフゲニー・プルシェンコ氏も大きな拍手を贈っている。

そんなメドベージェワ選手は、同じ世界選手権で男子シングルで完璧な滑りを見せた日本の羽生選手を「魅了される」と絶賛している。

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