スプートニク日本
パク・クネ氏をめぐる一大スキャンダルは、彼女の逮捕により結末を迎えた。前大統領は、汚職と職権乱用の罪で非難されている。実際、韓国において法の前では、すべての者は平等なのだろうか? スプートニク日本記者のインタビューに対し、アジア戦略センターのゲオルギイ・トロラヤ所長は、この問いに対し「韓国における汚職スキャンダルは、いつものことだ」と指摘し、次のように続けた-
「 パク・クネ事件の場合、逮捕は、様々な状況が重なったことによるものだ。国の指導者のポストにあって、彼女は、誰とも相談せず、基本的な政治勢力の利益も考慮しなかった。そこで大きな役割を演じたのは、彼女の自負と自己愛だった。彼女は、封建君主的な精神で、一人ですべて決断してきた。その事を、彼女の政党も、他の政治勢力も気に入らなかった。彼らには、パク・クネ氏が、彼らの知らない、ほとんど詐欺師のような輩に頼っているように見えていた。その際野党は、多くの原則的諸問題に関する保守主義者達の方針に反対だった。 南北関係の悪化やTHAAD(終末高高度ミサイル防衛システム)配備、さらには中国やロシアとの関係悪化に向けた政策である。そしてさらに、経済の諸問題やインフレが追い打ちをかけた。つまり、苛立ちが蓄積してしまったのだ。それゆえ誰も、韓国にとって原則的にかなりよくあり、パク・クネ氏も犯した罪に対する非難の『ブレーキ係』とはならなかった。つまり、事態がこのように発展する中で大きな役割を演じたのは、パク・クネ氏の個人的な特性であり、それが我々の目には、直接的な民主主義の勝利に見えるのである。パク・クネ氏の罪の程度を法的手段で明らかにするような、他の道はないのだ。」
またスプートニク日本記者は、ロシア極東研究所コリア調査センターの主任研究員、コンスタンチン・アスモロフ氏にも意見を聞いた。彼は、トロラヤ所長の意見に同意しながら「出来上がってしまった状況の中で、パク・クネ氏はもう単に、誰にも必要ではなくなってしまった」とし、次のように述べている-
「左派は常に、独裁者だったパク・チョンヒ(朴正熙)氏の娘である彼女の退陣を望んでいた。右派陣営でもまた彼女は『白いカラス』として愛されていなかった。我々は、保守路線のあらゆる誤りを都合よく帳消しにできる、言ってみれば、ふさわしい対象を見つけたのである。パク・クネ氏のせいだとされる一連のひとまとまりとなった誤りは、実際のところ、彼女自身の具体的な行動あるいは政策の結果によるものではない。そして、もし奇跡が起こらなければ、彼女は有罪となるだろう。韓国にとって、汚職との戦いは、事実上、国家を挙げてのスポーツ種目のようなものだが。この国では、非常に多くが汚職に起因していると言える。」
パク・クネ氏は、13の項目で非難されており、その中には、贈収賄、職権乱用、公人への不当な圧力そして国家機密漏洩といったものが含まれている。一方彼女自身、取り調べの過程では、これらを全面的に否定した。今後、裁判はどのように進んでいくのだろうか? これについてアジア戦略研究センターのトロラヤ所長は、次のように予測している-
「韓国において汚職は、珍しい事ではないが、韓国の人々は、大統領レベルでも汚職撲滅に向けた戦いをしようと試みている。2人の元大統領は、かつて死刑判決を受けたが、その後、自由の身となった。パク・クネ氏も、同じようになるだろうと思う。韓国人は、執念深い人達ではない。彼女は恐らく裁かれ、懲役およそ10年程度の判決が下されるだろう。しかし彼女が2年ほど服役し、屈辱と苦痛を受けるその姿を目にした後、韓国の人々の態度は軟化するだろう。そして彼女は恩赦を受けるか、健康上の理由で釈放されると思う。今後のシナリオは、そんな流れになるだろう。」
新しい大統領選挙は、5月9日になると見られている。それまでの韓国検察当局は、パク・クネ前大統領紙に対する、恐らく何らかの決定を下すものと思われる。