唐澤さんは「モスクワ放送」時代、1977年中学生の頃からの常連リスナー。ソ連崩壊後に「モスクワ放送」から「ロシアの声」に名称を変更したこのロシア国営放送が、新たに「スプートニク」となって大きく姿を変えた時、唐澤さんは「ロシアの声大好き!」という動画を制作してくださった。これにはスタッフはもちろんのこと大勢のロシア人が心から感動した。
唐澤さんはパリで20年以上レストランのマネージャーをされている。唐澤さんがロシアを訪れるのは今回で5回目。今回のロシア訪問の目的は、約20年前に一緒に仕事をしていた同僚の日本人シェフがモスクワにカフェをオープンしたお祝い。そのシェフとは、フランスでもトップレベルのパティシエだった小林克彦さん。モスクワ中心部アルバート通りの近くにある小林シェフのカフェ「Corner Cafe&Kitchen」は、かつてスプートニク編集部のブログでもお伝えしたことがある。
スプートニク日本語課は、唐澤さんの訪問を心待ちにしていた。日本語課はこの日、朝からうきうきモード。唐澤さんと約束した12時になると、黒いスーツに黒いワイシャツ、白と黒のひし形模様のネクタイに青系のポケットチーフといった上品でセクシーな装いの唐澤さんが現れた。一気に心が躍る。これまで番組でお便りをご紹介していた唐澤さんとの初対面。やっとお会いできたという嬉しさと、なんともいえない万感の想いが込み上げてくる。
日本人スタッフおよびロシア人スタッフの自己紹介の後、唐澤さんはスプートニク日本語課にこの季節にぴったりの「桜餅」をプレゼントしてくださった。この桜餅は唐澤さんの手作りで(すごい!)、桜の葉はパリで入手されたという。ほとんどのロシア人スタッフが桜餅を食べるのはもちろん、見るのも初めて。春の甘い香りのする美しい桜餅にスタッフ一同大感激!なお唐澤さん手作りの桜餅は、同じフロアで仕事をするベトナム課やコリア課のスタッフにも振舞われ、「フクースナ(おいしい)!」と大絶賛だった。
さて、今回唐澤さんにスプートニクにお越しいただいたのは、見学のためだけではない。メインはモスクワ放送時代から続く長寿番組「お便りスパシーバ」への出演だ。これはスタッフが「ほぼ無理やり」お願いして叶った企画(ボリショエスパシーバ、唐澤さん!)。
唐澤さんは番組でBCL少年時代の思い出、東京の勤務先のレストランでゴルバチョフ元ソ連大統領夫妻の給仕役を務めた貴重なエピソード、BCL再開のきっかけ、パリでのお仕事や生活などについて生き生きとお話ししてくださった。またすでに「お便りスパシーバ」のマスコットガールとなったヴェーラちゃん(音声番組を担当するアーラさんの6歳の孫)から唐澤さんへの「プレゼント」も渡された。
木々が芽吹き、花々が咲き始める前のモスクワは埃っぽくてどこか虚しい。そんなモスクワにフランスで活躍するスマートな唐澤さんが、日本人らしい粋な計らいで桜の香りと共にスプートニクに春を届けてくださった。この日はスタッフ皆が幸せな気持ちで一日を過ごした。唐澤さん、ありがとうございました!