トランプ米大統領が、核廃絶目標を掲げたオバマ前政権の政策を見直して核戦力拡大に意欲を示す中、強い表現で核なき世界への結束を示せるかが焦点になる。
共同声明は、化学兵器が使用されたシリアの情勢やテロ対策などに加え、核不拡散についても取り上げる方向だ。秋葉剛男外務審議官がG7の事務責任者と共同声明に盛り込む具体的な文言の調整を進めている。岸田文雄外相は9日、イタリアへ向け出発し外相会合に臨む。共同声明は、最終日の11日に発表予定。
日本政府は、世界の指導者に広島や長崎訪問を促した宣言を「核廃絶への機運を高めた」(外務省幹部)と自負。宣言が、昨年5月のオバマ氏による現職米大統領として初の広島訪問につながったとの見方も多い。
政府関係者は「核保有国、非保有国の立場を超えてまとめた広島宣言は不変的な価値がある。G7として継承すべきだ」と指摘し、声明に強い文言で明記するよう働き掛けていると説明した。
ただ、北朝鮮が米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発を進める中で、米国内には「核保有国の優位性を保つべきだ」(トランプ氏)との意見が根強い。核廃絶を巡る各国の温度差が露呈し、調整が難航する可能性もある。