嘉手納町議会(徳里直樹議長)は11日午前臨時会を開き、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練の全面禁止を求める抗議決議案と意見書案を全会一致で可決した。
嘉手納基地が民家に囲まれている以上、世論の懸念は非常に理解できる。パラシュート兵投入の際の小さいミスや、天候や風の不正確な計算は、パラシュート兵が基地の代わりに民家の屋根に降下するには十分なのだ。機器や荷物をパラシュートとともに投下することは、住民にとっての深刻な脅威で、1965年には米軍のパラシュート投下訓練で投下されたトレーラーが落下。読谷村の小学生女児が圧死した。
抗議の理由はまだある。実は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)合意で、日米はパラシュート降下訓練を、沖縄本島の北東に位置する伊江島補助飛行場(伊江村)で行うことに合意しているのだ。この合意は2011年や2017年など数度にわたって破られている。
稲田大臣は今回の件で、「日本側として、例外的な場合にあたるとは考えていない。パラシュート降下訓練は、日米両政府の合意に沿って伊江島補助飛行場で実施するよう引き続き求めていく」と述べた。
完全に軍のニーズに割り当てられた、このように素晴らしい島があるなら、なぜ降下訓練に用いられないのか?硫黄島は沖縄本島東1360キロと、遠海にあるのだ。これは片道約2時間で、それに相応するジェット燃料費が必要となる。
嘉手納では先月24日、訓練というよりは、認定試験降下という言葉が適している訓練が行われた。パラシュート兵は持続的なパラシュート降下スキルを保つため、時折降下訓練を行う必要がある。米軍には、3ヶ月に1回というノルマがある。嘉手納基地の司令部は、パラシュート兵に降下訓練を行わせてノルマを達成しつつ、燃費を節約する決定を出した。降下訓練を行ったMC130特殊作戦機は沖縄上空を数回旋回しただけで、空中にいたのが1時間半を超えることはないだろう。しかし、ジェット燃料節約は政治的スキャンダルになった。
この話で何より注目すべきなのは、日本という同盟国に対する米国の態度。米軍は、同盟国に対する約束すら遵守する義務がないと考えており、ジェット燃料節約が日本の国益遵守を上回るほどだということだ。そして平時でこれなのだ。では、戦時に米国は日本という同盟国にどう接していくのか?問題はおそらく、開かれたままで残るだろう。