「日本人はクリル問題に疲れたか?」
「このところ見られている露日政治対話の活性化は、クリル問題にぶち当たり、またもや袋小路に陥っている」-国際経済国際関係研究所日本セクターの責任者、ヴィターリイ・シヴィトコ氏は、12日付の「日本人は狂る問題に疲れたか?」と題するGazeta.ruのインタビューで、そうした見解を示した。氏は「係争中のクリルの島々に関するロシアと日本の間の取引が、近く行われることはない。交渉プロセスは、袋小路に陥った」と述べ、次のように指摘した-
「交渉参加者の立場と利益が、明らかに一致していない。一方の日本の政治的エスタブリシュメントにとって、クリルの島々における領土確定は、今でも主要な問題だ。日本側は、自分達のいわゆる『北方領土』は、1945年のソ連との戦争の結果、失われたものとみなしている。しかし他方ロシア側は、歴史の経過によりクリルの帰属は決定済みであり、話し合いは、島々の主権に関する現状を変えずに、それらの共同利用の条件についてのみ行えるとの見地に立脚している。今後の日本とのさらなる関係発展について言えば、ロシア政府は、経済的、人道的さらには軍事的接触の拡大に可能性があるが、それは、何らかの政治的諸条件あるいはロシア側の義務といった縛りのないものでなくてはならない。
まして日本の経済プロジェクトについて言えば、ロシア政府は、純粋に商業ベースでの事業であると見ており、ロシアへの援助、日本側からのロシアへの政治的歩み寄りなどとは捉えていない。日本は、ロシアとの政治的『取引』の時を逸してしまったように思う。なぜならロシアにとって最も重要な分野における西側の制裁の影響は、徐々に弱くなっているからだ。そうした事から、日本の実業界からの措置に対するロシア指導部の客観的な経済的関心は、もうそれほど高くはない。日本の資本の限られた財政注入、特にロシア極東に対するそれは、ロシア経済の抜本的健全化を求める大規模な諸問題の解決にはならない。一方日本企業の指導者達は、当局の政治的野望に都合のよいように、ロシアのプロジェクトに対し、企業の長期的な事業戦略に起因するものよりもはるかに大きな関心を示そうとは欲していない。こうした諸条件の中、両国の政治家や世論を実際分裂させている基本的問題に関し、ロシアと日本の立場をより近づけることができるのは、長期的展望を持って、幅広い対話を基盤に、対話を難しくしているあらゆる状況や客観的困難を考慮しながら、物事を進める事だけだと私は確信している。」
「対話は続く」
別の日本専門家、ロシア極東研究所日本センターのワレーリイ・キスタノフ所長は、シヴィトコ氏に比べると、もっと楽観的な見方をしている。情報分析通信社「ヴォストーク・ラシーイ(ロシアの東)」の5月12日付の「ロシアと日本;対話は続く」と題するインタビュー記事の中で、キスタノフ所長は「露日二国間の容易でない諸問題は、単に対話の継続を求めているのみならず、新しい互いに受け入れ可能な政治的経済的解決法の倦むことのない模索を要求していると確信する」とし、次のように続けた-
「おまけに露日双方は、両国国境に直接隣接した北東アジアの情勢が極めて先鋭化している条件下において、自分達の行動を最大限調整し、この地域の平和と安定維持のため可能なあらゆることをしなくてはならない。」