カタールをめぐる外交スキャンダルは米政治変化の結果か?

© AP Photo / Hassan Ammarカタール
カタール - Sputnik 日本
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サウジアラビア、バーレーン、エジプト、アラブ首長国連邦、イエメンそしてリビアのアラブ6カ国が、カタールと外交関係を断った。その後、モルディブもこれに加わった。スプートニク記者は、この紛争の原因はどこにあるのか、どういうところからこうした事態になったのか、ロシアの専門家に意見を聞いた。

バーレーン、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦がカタールと国交断絶 - Sputnik 日本
バーレーン、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦がカタールと国交断絶
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専門家達は、紛争は実は長い間もう、表面化していたと指摘している。カタールは常に、イランに対し他のアラブ諸国に比べ、柔軟な対応をしてきたが、その事は、一連のアラブ諸国全体の共通の路線を侵すものだった。

ロシア政府付属財政金融大学のゲヴォルク・ミルザヤン政治学専攻准教授は、今回の対立の原因の一つには、イランがあった可能性を指摘している。

カタールには常に、イランと良好な関係を保たなければならない理由があった。この事は、他の近隣のアラブ諸国とは明らかに違っている。イランとカタールは海底ガス田を共有しており、またカタールにとってイランとの友好は、王朝間の歴史的紛争と長期にわたる矛盾を抱えたサウジアラビアとのバランスを取るためにも必要なのだ。

さらにミルザヤン准教授の意見によれば、今回の状況尖鋭化の要素の一つとなったのは、カタールが「イスラム同胞団」を支援したことにあるとのことだ。サウジアラビアは、このグループを「国自体にとって脅威の一つ」とみなしている。

またミルザヤン准教授は「地域の多くの国々とひどく矛盾する政策を取りながら、カタールが大目に見られてきたのは、領内に米国の軍事基地があるからだ。しかし、その意味でカタール政府は、読みを見誤った」と指摘し、次のように続けた-

「おそらくカタールは、サウジには現在、あまり力はないと考えたのだろう。しかしサウジは多分、米国の支持を事前に取り付けたと思われる。断交といった過激な措置を、アラブ世界が、米政府の合意なくするとは思えないからだ。それゆえサウジは、カタールの調教を試みようと決心したのだろう。イランに対する独自の政策をカタールに放棄させ『イスラム同胞団』への財政支援をやめさせようとしているのだ。それが何をもたらすか、今後の経過を注意深く見守りたい。」

ペスコフ報道官 - Sputnik 日本
ペスコフ報道官、カタールをめぐる状況について発言 ロシアは他国の問題に干渉しない
ではなぜ、他のアラブ諸国はサウジを支持したのだろうか? アラブ世界が今回こうした形で団結した理由について、アラブ問題の専門家、モスクワ戦略調査研究所のエフゲニイ・ビリュコフ研究員は、次のように説明してくれた-

「アラブ首長国連邦とバーレーンは、サウジの立場に大変近い外交政策を伝統的に取るアラブの君主国だ。それゆえ、これらの国々が、今回互いに支持しあうのは驚くに値しない。
ただエジプトの状況は、もっと複雑だ。カタールとの関係は、2013年の革命後、損なわれてしまった。この革命の後、エジプトには軍事政権が誕生したが、それまで権力は、他でもないカタールが積極的に支援する『イスラム同胞団』の手に握られていた。

バーレーンについては、この国の宗教構造に、非常に重要な理由がある。この国を治めているのは、サウジと同じスンニ派の王族達だが、国民の三分の二は、イランと同じシーア派なのだ。またサウジはバーレーンにとって、安全保障面を支える重要な保証国である。この事は2011年の、アラブの春の際に確認された。当時サウジアラビアは、バーレーン領内に軍隊を入れた。それゆえバーレーンにとってサウジとの関係は、鍵を握る優先的意義を持っている。バーレーンは、多くの問題において、サウジと同様に行動している。

サウジアラビアとエジプトは、アラブ世界において、力の面でも又外交面でも伝統的中心だ。 両国は、ここ20年余り国際社会で見られるカタールの影響力の急激な拡大を、嫉妬の面持ちで大変熱心に見守って来た。それゆえ、今回カタールとの外交関係断絶の口実が生じた時に、その状況が利用されたのだ。2003年米国は、アラビア半島における基本的な軍事基地をサウジアラビアからカタールに移した。この事にもサウジ当局は、大変嫉妬している。それゆえサウジと米国の外交関係が改善されれば、サウジとカタールの関係には当然、それはネガティブに反映する。事実上ここにおいては、米国の政策の変化も考慮に入れるべきである。前のオバマ政権は、カタールと大変密接な関係を築いたが、サウジアラビアを最初の訪問国とした先日のトランプ現大統領の中東歴訪は、経済協力の拡大、米国への財政的影響の拡大に道を開き、サウジ当局に利用されるものとなった。」

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