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米国メディアが報じている、米国当局から漏れてきた情報を考慮すれば、米国の中国における諜報網の大部分は壊滅的だという。このことは、中国は自国のエージェントを米国諜報部隊の核のどこかに有しているのではないか、と思わせる。そしてまた、かつて、中国の諜報部隊が米国の省に入りこむことができたというのも有名な事実だ。中国は米国のビジネス業界において、非常に強い関係をもっており、大きな影響を及ぼす。また、米国の文化産業の活動に影響を及ぼす可能性もある。それによってハリウッドが、反中国的な映画を撮らないようにさせるというわけだ。
南シナ海における中国の狙いというのは、全てのことを考慮すれば、決して、海域の9割の管轄権を握るということではない。実際の中国の課題は、この海域における効果的な軍事的なコントロールである。そのコントロールというのは、海域における重要なポイントを制覇し、そこに不可欠なインフラを敷設することによって可能となる。この観点からいえばすでに、目的は基本的に達成された。スカボローに施設を建設することは中国の成功を絶対的なものにする。全体的に言って、現在の状況はすでにじゅうぶんに好ましいものである。
米国の、決定を行うプロセスは、多くの面において、大統領と少なくない数の議会・役人たちとの間で起きているバトルによって、機能不全に陥っている。このような状況の中で大規模なリソースの再分配は単純に無理である。トランプ氏率いる大統領府はオバマ氏が行っていたのと同じアジア政策をとらなければいけない状況に陥っている。しかも、TPPから脱退したため、それは全く同じではなく、弱まった形での継続となる。
それ以外にも、東南アジアの国々のうち、米国との同盟関係をもっていても、現時点で中国との関係を劇的に悪くさせる準備ができている国はひとつもない。逆に、多くの国は、中国との対話の際に自国の立場を強めるために米国を利用している。中国の政策はそれらの国々に驚喜をもたらすものではないが、米国の政策に比べれば、より理解可能であり、予想可能であり、首尾一貫しているようにみえる。
もし米国が本当に南シナ海における影響力を中国から取り戻したいと考えるなら、戦略的アプローチを変える以上に必要なことはない。決定を行う際の原則の見直しと、東南アジア地域における、当該諸国に対するすべてのアプローチを変えることによってのみ、成功が期待できるかもしれない。しかし今のところ米国はおそらく、その用意はできていないだろう。
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