この場所の何がすごいのか、どうして営業していないホテルが世界中から観光客を集めているのか。フランスの写真家ロメイン・ヴェロン(Romain Veillon)氏がスプートニクのインタビューで語ってくれた。
© 写真 : Romain Veillonホテルは未完成である。写真を見ると、建設作業は最終段階になって中止されたことが分かる。ホテルが閉鎖された本当の理由は誰にも分からないが、地元住民の間では、これについてさまざまな噂が飛び交っている。
ホテルは未完成である。写真を見ると、建設作業は最終段階になって中止されたことが分かる。ホテルが閉鎖された本当の理由は誰にも分からないが、地元住民の間では、これについてさまざまな噂が飛び交っている。
© 写真 : Romain Veillon信じられないような説や恐ろしい説が存在する。ある人は、所有者は穢れた汚職事件が原因で呪われた起業家だったと言う。また別の人が言うには、ホテルは客を受け入れるに至ったのだが、ある夜、この山に住む悪霊の仕業で全員が一夜にして消えてしまったのだという。
信じられないような説や恐ろしい説が存在する。ある人は、所有者は穢れた汚職事件が原因で呪われた起業家だったと言う。また別の人が言うには、ホテルは客を受け入れるに至ったのだが、ある夜、この山に住む悪霊の仕業で全員が一夜にして消えてしまったのだという。
© 写真 : Romain Veillonヴェロン氏は次のように付け加えた「私が帰ろうとしていると、わずか数分の間にホテルが霧に包まれました。私はこの機会を逃すまいとして、あと数枚の写真を撮るべく、その場に残りました。しかし、霧は濃くなり、視距離がわずか数歩先にまで縮まったのです。もしかすると、例の悪霊が自分の居場所に戻ってきたのかもしれない。そう思って、悪霊を騒がせないように、その場を離れました。」
ヴェロン氏は次のように付け加えた「私が帰ろうとしていると、わずか数分の間にホテルが霧に包まれました。私はこの機会を逃すまいとして、あと数枚の写真を撮るべく、その場に残りました。しかし、霧は濃くなり、視距離がわずか数歩先にまで縮まったのです。もしかすると、例の悪霊が自分の居場所に戻ってきたのかもしれない。そう思って、悪霊を騒がせないように、その場を離れました。」
© 写真 : Romain Veillonこの不思議な場所の謎を解き明かそうとしたロメイン・ヴェロン氏によると、最大の通説で一番もっともらしいのが、元インドネシア大統領の下の息子、フトモ・マンダラ・プトラ・スハルト(通称「トミー」)がホテルの所有者であったという説である。
この不思議な場所の謎を解き明かそうとしたロメイン・ヴェロン氏によると、最大の通説で一番もっともらしいのが、元インドネシア大統領の下の息子、フトモ・マンダラ・プトラ・スハルト(通称「トミー」)がホテルの所有者であったという説である。
© 写真 : Romain Veillonこの息子はこの地域で最も豪華なホテルを建設しようとしたが、まもなく巨額の横領が明るみに出始めた。
この息子はこの地域で最も豪華なホテルを建設しようとしたが、まもなく巨額の横領が明るみに出始めた。
© 写真 : Romain Veillonこの事件に取り組んだのがシャフィウディン・カルタサスミタ(Syarifuddin Kartasasmita)判事であり、トミー・スハルトに対し、汚職のかどで刑事事件を起こそうとしていた。
この事件に取り組んだのがシャフィウディン・カルタサスミタ(Syarifuddin Kartasasmita)判事であり、トミー・スハルトに対し、汚職のかどで刑事事件を起こそうとしていた。
© 写真 : Romain Veillon結果的に、2002年7月、インドネシアの裁判所は、シャフィウディン・カルタサスミタ氏の殺害を組織した罪でトミー・スハルトに首都の刑務所での禁固15年を言い渡した。
結果的に、2002年7月、インドネシアの裁判所は、シャフィウディン・カルタサスミタ氏の殺害を組織した罪でトミー・スハルトに首都の刑務所での禁固15年を言い渡した。
© 写真 : Romain Veillonおよそこれと時期を同じくして、クタで大規模なテロが発生し、大統領一家はホテルどころではなくなった。
およそこれと時期を同じくして、クタで大規模なテロが発生し、大統領一家はホテルどころではなくなった。
© 写真 : Romain Veillonこのようにして、巨大ホテルは廃墟好きの観光客にとってのアトラクションと化したのである。
このようにして、巨大ホテルは廃墟好きの観光客にとってのアトラクションと化したのである。
© 写真 : Romain Veillonこうした話はどちらかというと、観光客誘致のための伝説に近いのだが、地元住民の間で口伝いに広まり、ますます新たな尾ひれがついている。
こうした話はどちらかというと、観光客誘致のための伝説に近いのだが、地元住民の間で口伝いに広まり、ますます新たな尾ひれがついている。
© 写真 : Romain Veillonひとつ確実なことは、10年以上も前に廃墟となったホテルは魅惑的な雰囲気を湛えているということだ。
ひとつ確実なことは、10年以上も前に廃墟となったホテルは魅惑的な雰囲気を湛えているということだ。
© 写真 : Romain Veillon奥に入っていくにしたがって不気味な雰囲気が強くなり、私の散策は段々と恐ろしく、ますます現実から隔離されたものとなっていきました
奥に入っていくにしたがって不気味な雰囲気が強くなり、私の散策は段々と恐ろしく、ますます現実から隔離されたものとなっていきました
© 写真 : Romain Veillonかつてこの巨大なホテルは並外れた美しさを誇っていたが、現在は人の心を凍てつかせる廃墟と化し、人々が浴することのできなかったかつての贅沢の跡を残すばかりである。
かつてこの巨大なホテルは並外れた美しさを誇っていたが、現在は人の心を凍てつかせる廃墟と化し、人々が浴することのできなかったかつての贅沢の跡を残すばかりである。
© 写真 : Romain Veillonロメイン・ヴェロン氏は次のように印象を語ってくれた。「私はこのホテルの中を散策するという稀有な機会に恵まれました。」
ロメイン・ヴェロン氏は次のように印象を語ってくれた。「私はこのホテルの中を散策するという稀有な機会に恵まれました。」
© 写真 : Romain Veillon「奥に入っていくにしたがって不気味な雰囲気が強くなり、私の散策は段々と恐ろしく、ますます現実から隔離されたものとなっていきました。このホテルの中で実際に何が起こったかは分からないにせよ、私の中の感覚が、あるときここで何かおかしなことが起こったのだと語りかけるようになりました。」
「奥に入っていくにしたがって不気味な雰囲気が強くなり、私の散策は段々と恐ろしく、ますます現実から隔離されたものとなっていきました。このホテルの中で実際に何が起こったかは分からないにせよ、私の中の感覚が、あるときここで何かおかしなことが起こったのだと語りかけるようになりました。」
© 写真 : Romain Veillon「このホテルの中で実際に何が起こったかは分からないにせよ、私の中の感覚が、あるときここで何かおかしなことが起こったのだと語りかけるようになりました。」
「このホテルの中で実際に何が起こったかは分からないにせよ、私の中の感覚が、あるときここで何かおかしなことが起こったのだと語りかけるようになりました。」