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女性1人が生涯に産む子供数の推計値である合計特殊出生率が改善しても、出生数の増加には繋がらず、むしろ減っていくと河合氏は述べる。それは、過去の少子化によって、将来的に母親となる可能性のある女児の数が減っているためだという。
河合氏は、出産時期を25歳から39歳として、それに該当する女性の数を見た。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2015年には1087万人だったが、40年には814万人、2065年には612万人となる。
さらに、最新の2016年度の合計特殊出生率は1.44であり、過去最低の2005年より回復しているものの、年間出生数で見ると16年度のほうが少ないと指摘。
過去の少子化により、合計特殊出生率の微増では今の少子化には対処できないのだ。
さらに、母親になり得るとカウントされる女性の年齢は15歳から49歳。国立社会保障・人口問題研究所の女性人口推計によると、2020年には50歳以上人口がそれ以下の人口を追い抜く。日本女性の過半数が出産期を過ぎるのだ。
なお、安倍政権は「国民希望出生率1.8」の構想を打ち出した。国民希望出生率とは、若い世代の結婚・出産希望が叶った場合に推計される合計特殊出生率。
1.8とは、2015年に行われた第15回出生動向基本調査を用いて出された数だが、それを達成することは非常に困難。その上、そもそも人口が減らないためには合計特殊出生率が「2.07」である必要があり、1.8では人口減少の勢いを殺すことしか叶わない。
そのため、河合氏は合計特殊出生率を高めることで少子化の速度を緩めて、社会変革のための時間稼ぎをするよう呼びかけている。
なお、これより前日本の国立社会保障・人口問題研究所が発表したところでは、出生率低下のため、年までには日本の人口が万人減少する可能性がある。