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しかし、先のケースでは手放しの歓迎トーンが強かった一方で、今回はパンダの背後にいる中国に意識が向けられているという。
この一因には、パンダの所有権と費用の違いがある。以前パンダは贈り物であり、返却義務もなかった。一方で子パンダの両親のリーリーとシンシンは「借り物」。パンダの繁殖研究のためパンダを借りるという形になっており、10年後には返す必要があるほか、「研究への支援金」は2頭あわせて年95万ドル。都の税金で賄われている。赤ちゃんもまた、2年後には返還義務がある。
一方パンダが贈呈から貸与に変わったのは、金銭目当てではなく、84年のワシントン条約により国際取引が禁じられたことが背景にある。贈与は禁止になったが、繁殖研究目的ならば依然賃貸が可能なのだ。
また、経済大国の中国にとってレンタル料よりも貸与によるイメージアップ、つまり「パンダ外交」が重要な目的なのだ。
パンダ外交に詳しい東京医科歯科大学教養部の家永真幸准教授は、パンダの誕生そのものは日中関係に影響しないとしつつも、パンダを通じて信号が出される歴史もあり、菅義偉官房長官や中国の外務省報道官が誕生に好意的に接したのは、「"関係改善のシグナル"の意味はある」と推察する。
家永准教授は、細やかな信号が弱腰外交批判を避けつつも、国内や相手の様子を見ながら交渉を進めるためだとの見解を示す。
先の報道によると、東京の上野動物園で12日正午前に生まれたジャイアントパンダの赤ちゃんの最新映像が、数時間前に公開された。