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「恐らくクジラはアザラシを追って、あるいはシャチから逃げている時に岩場に迷い込んだものと思われる。正確な理由はわからない。いずれにしても、結果としてクジラは河口から1キロも上流に入り込んでしまい、まだそこから抜け出せていない」と環境保護当局のマリーナ・チェサリナ報道局長は述べている。
一晩中クジラは川を遮るように横たわっていたが、自然保護区職員の話では、寝返りを打ち始めているという。
当局者によると、このクジラを救出することは非常に難しい。というのはヘリコプターやトラクター、小型船舶といった機械類でさえ、このような重量には対処できないからだ。
「せめて晩まで何とか時間を稼ぐために、クジラの体に水をかけ続けているところだ。そうしなければ体が乾いて死んでしまうだろう」とチェサリナ氏は話している。
見通しは非常に悲観的なものである。今やホッキョククジラ自身が、自分の力で夜の満潮時に自らを解放できるかどうかに全てがかかっている。
各地を旅行しながらブログを投稿しているセルゲイ・ドーリャさんは、自身のインスタグラムにこのクジラの写真を投稿している。
「クジラは血を流しているがまだ生きている。潮が満ちてクジラが海に出られることを願おう。もっとも、予報では今日の昼間は満潮時でも潮が高くならないので、クジラは海に出られないかもしれないが」とセルゲイさんはコメントしている。
ホッキョククジラはヒゲクジラ亜目に属する。北半球の水温の低い海域に分布し、最も南方ではオホーツク海で見られる。2000年代初めからはシャンタル諸島近海で定期的に観察されるようになっているが、個体総数は400頭以下とみられている。体長は20メートル、体重は最大150トンにもなる。