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計画を進めているのはNPO法人「グッド・エイジング・エールズ」。国際スポーツ大会では10年バンクーバー冬季大会以降、「プライドハウス」と呼ばれるこうした拠点が開催都市に設けられる事例が増えている。今回日本では初の試み。
国際オリンピック委員会(IOC)は五輪憲章で性的指向による差別を禁じている。欧米メディアによれば昨年のリオデジャネイロ五輪ではLGBTを公表する選手が少なくとも41人おり過去最多だった。
「グッド・エイジング・エールズ」の松中権代表(41)は「東京大会でスポーツ界をもっとオープンにしてレガシー(遺産)として残したい」と意義を強調。LGBT理解を深める教育や参加型のスポーツイベントも検討しており、今後、大会組織委員会や都との連携も視野に入れているおり、これに組織委は「詳細が分かった段階で改めて検討したい」とコメントしている。
日本では全国約7万人の調査で約13人に1人がLGBT層に当たるとのデータ(15年電通調べ)がある一方、スポーツ界で公表している人はほとんどいない。松中代表は「政治家やスポーツ選手はカミングアウト(公表)することで何かを失うリスクにおびえている」と根深い理解不足や差別意識を指摘する。
元フェンシング女子日本代表選手の杉山文野さん(36)もトランスジェンダー。「期間限定でも世界が注目するスポーツ大会で社会に情報発信できる場を設けられれば、非常に効果的」と、共生社会の実現に向けた計画に期待した。