肯定的感情は米国人の健康を増進する だが日本人の場合はそうではない

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肯定的感情が身体的健康に与える影響は、その人がもつ文化的背景によって異なる。日米両国の住民の、心理状態と心臓血管疾患発病のリスクの関係を調査した研究グループがこのような結論に達した。

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米国の科学的心理学会の機関誌「Psychological Science」に掲載された論文によると、肯定的感情に対する見方はその人がもつ文化的背景によって異なる。西洋文明では肯定的感情は達成すべき理想と考えられているが、アジア諸国では肯定的感情は人々の最も重要な目的ではない。

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今回研究グループは、日米両国の住民(日本は374人、米国は1017人)の心理状態と心臓血管疾患に対する素因についてのデータを収集した。対象となった住民の平均年齢は55歳だった。心理状態の把握のため、参加者はある特定の肯定的感情(例えば「満足感」「誇り」あるいは「生活の充実感」)を過去30日間でどれくらいの頻度(「一回もなし」から「常に」まで)で経験したか、質問を受けた。全体的な心理状態は1から5までの段階で評価された。心臓血管疾患発病のリスクを明らかにするため、研究グループは被験者の血液中の脂質の量を調べた。

その結果、米国人の心理状態のレベルは血液中の脂質の量の変化と関連性があるとわかった。血液中の脂質の量の低下は心臓血管疾患発病のリスクを3%低下させる。しかし日本人では、このような傾向はみられなかった。心理状態のデータの変化は脂質の量のデータに影響を及ぼしていなかった。

研究グループによると、今回の結果は人々の文化的特性を考慮せずに肯定的感情をその人の健康状態と結び付けてはならない、ということを示している。

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