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スティーブン・キングは、現代の最も成功した作家の1人。その才能は処女長編『キャリー』(1974)の出版後すぐに話題になった。続く40年余りでキングは、1度も失敗したことがないように思われる。まさにキングのおかげで「メガセラー」、つまり特に驚異的な発行部数を誇るベストセラーという考えが生まれたのだ。
キングの作品の主人公は米国の一般市民で、国家官僚や技術的進歩に抵抗する。彼らは多くの点で、読者のような存在なのだ。読者は作中に、彼ら自身を動揺させるものを見つける。それは社会問題や現代の生活への風刺、子供の恐怖と集団的な恐怖だ。
キングの作品ではヴァンパイアが平凡な米国の田舎町に生き(『呪われた町』1975)、UFOが森で偶然見つかり(『トミーノッカーズ』1987)、自動車でひき逃げた罰としてどんどんと痩せていくようロマ(ジプシー)に呪いをかけられる可能性もあるのだ(『痩せゆく男』1984)。
とはいえキングの作品の研究者らは、キングの最良の部分は伝統的な「ホラー」よりも心理的な色合いが強い作品にあると見ている。『デッド・ゾーン』(1979)や『グリーンマイル』(1996)はおそらくサイコスリラーと言えるだろう。
スティーブン・キングはまた、映画史上最高作品の1つと認められる『ショーシャンクの空に』の原作の中編小説『刑務所のリタ・ヘイワース』の作者でもある。
2011年にはキングのSF小説『11/22/63』が大反響を呼んだ。同書では米国の第35代大統領ジョン・F・ケネディの暗殺を防ごうと過去へと旅立つ者の話が語られる。
キングについてのこうした情報は、ネットで簡単に見つけられる。さて、キングが2歳のとき父は蒸発、どこにお父さんは行ったのかという当然の質問に母が、父は火星人にさらわれたのだと答えたことは秘密ではない。キングはまた少年時代、友達が列車に轢かれて死んだ様子も目撃した。生活環境と時代、小さな少年の感じやすさの組合せと作家としての才能が組み合わさり、私たちに天才的な作家を贈った。キングのあらゆる恐ろしいものや神秘的なものへの愛を上回るのはキングの人道主義と、悪とは抵抗する必要がある挑戦である、という信念だけだ。