この結果にロシアのフィギュアスケート連盟のアレクサンドル・コーガン会長も満足の意を示し、「メドベージェワはフリープログラムを入れ替えた。彼女はこれを十分上出来に滑り、すべての要素をミスなくクリアして、高いスコアを得た」と語っている。
メドベージェワ選手はオリンピックシーズンの半ばでフリープログラムの変更を決めた。新たなフリープログラムとなった『アンナ・カレーニナ』は実は彼女が前にショートプログラムに使っていたもので、今回の「ジャパン・オープン」で披露されている。メドベージェワ選手は「ジャパン・オープン」では同じロシアのアリーナ・ザギトワ選手(15)とライバルとしてしのぎを削り、結果として欧州を勝利へと導いた。
メドベージェワ、ザギトワの二人が同じリンクの上で争ったのは1年前のロシア杯のときだったが、当時、ザギトワ選手は技術では最高水準に達していたものの、メドベージェワ選手のライバル候補という扱いは全く受けていなかった。ザギトワ選手は今回、日本でのフリープログラムで『ドン・キホーテ』を演じ、145.28という高得点を獲得。このナンバーは初めてジュニアとしてではなく出場したイタリアのロンバルディアトロフィー大会で演じたもので、獲得スコアからいっても最終的な出来上がりの段階に達している。
結果的にはこの試みで、メドベージェワ選手のファンは何とも複雑な気持ちを味わうことになった。ソチのショートプログラムは理想的な出来とは言い難く、またスロヴァキアのオンドレイネペラトロフィーにいたっては1位だったとはいえ、146.72と、はザギトワ選手がロンバルディアトロフィー大会で獲得したスコアより低かったからだ。
結果としてメドベージェワ選手は「ジャパン・オープン」では、日本の夏のアイスショーで演じた『アンナ・カレーニナ』を滑ることを決めた。技術点は77.03で、総合点は国際スケート連盟のツアーでは至上3番目に高い152.09となった。
メドベージェワ選手はより複雑さを増したプログラムで新たなシーズンを始めようとしていた。そうしたプログラムであればどんな場合でも高得点をとれ、ミスがあっても他には絶対負けないショートプログラムのほうで補てんが利いただろう。だがライバルらが間近に迫ってきていたことと、すべてを限りなく完璧にミスなく滑りたいという気持ちからメドベージェワ選手は急きょ、プラン変更を決めたのだった。
ただし、グランプリの前に最終決定をとることができたのはメドベージェワ選手には幸いだった。モスクワではすでに数日後の21日、22日にグランプリへのロシア国内のステップが控えている。これがメドベージェワ選手にとっては新プログラムの公式スタートの場となる。