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論文は科学誌『Nature Human Behaviour』によると、女性の利他的行動の起源が脳における特定のニューロン構造の活発な働きによって引き起こされる場合、理論的にはこの活動の減少は女性をより利己的にするはずである。ここで大きな役割を果たすのはドーパミン。これは脳の「報酬システム」を成す化学物質の1つで、満足感を引き起こす。性行為や美味しい食事を食べた時、他人に優しさを示すなど主観的に好ましいことが起きる際に多く分泌される。
実験には男性と女性が27人ずつ参加。彼らは一定の金額を受け取ったり、他人に渡すことを求められた。また、一部の参加者には脳におけるドーパミンの働きを阻害するアミスルプリドを、他の人にはプラセボが渡された。明らかになったところ、プラセボを受け取った女性の51%が利他的態度を示した一方で男性は40%にとどまった。アミスルプリド摂取の場合、女性はお金を分け合う傾向が低くなったが、男性はより向社会的な行動を示した。
学者による脳機能イメージングのデータもまた、利他的選択におけるドーパミンの役割が男性より女性において大きいことを示している。論文の著者は、この差が生得的な性差なのか、社会的な行動から生じるジェンダー的なものなのかを特定することは時期尚早だと指摘。しかし、女性の脳が男性より化学的報酬を得ているという事実は証明できたと見ている。