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学者たちの間では今も土星の環の起源に関する論争が繰り広げられている。惑星科学者の一部は、土星の環は古代の原始衛星の残骸から生じたと考えているが、別の学者たちは、最近の大変動によってできたものだとの見方を表している。
また最近カッシーニが、土星が徐々にその環から水を「吸い取っている」ことを発見したため、惑星科学者たちはその補給源の可能性も探すことになった。なお、その補給源は、土星の衛星エンケラドゥスの可能性がある。カッシーニの観測では、エンケラドゥスの間欠泉が常に土星のE環(土星の外側の最も大きな環の一つ)の氷の埋蔵量を補充していることが示された。
さらに別の問題もある。それは、土星の環の物質は徐々に土星に落下あるいは宇宙空間に「消え去った」はずだという事実だ。カッシーニの最新画像の分析は、土星の環がその誕生から数千万年後あるいは数億年後に消え去っていたはずであることを示している。だが、それは起こらなかった。
NASAの惑星科学者らによると、その原因は土星の7つの衛星にある。その衛星とは環の近くあるいは環の中に存在しているパン、アトラス、プロメテウス、パンドラ、ヤヌス、エピメテウス、ミマス。カッシーニが土星の環を通過した時に得られたデータや画像は、これらの衛星がそのガスや塵の割合が高い土星の外側のA環とB環を安定させていることを示している。学者たちは、土星の衛星がこれら環の塵の粒子の動きに「ブレーキ」をかけ、その軌道に入り込ませないようにして環を崩壊から守り、現在の明確な構造を維持することを可能としていることを発見した。
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