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両氏によると、短期記憶は情報過多に対する脳の健全な反応だという。トロント大学のサイトに掲載された論文では、新しい必要な情報に場所を提供するために、脳は古くて無意味な情報をわざと消去していると述べられている。
フランクランド氏とリチャーズ氏は「記憶の本当の目的は詳細を覚えるのではなく、意思決定プロセスを最適化することにある」と指摘している。
学者たちは、記憶を司る神経経路は時の経過とともに弱まり、新たな神経細胞がすでにある記憶を書き変えていることを明らかにした。脳におけるこれらのプロセスは、人間が新しい状況に容易に適応するのを助けるという。マウスで行われたある実験では、古い記憶を消したマウスは新しい迷路の出口をより早く見つけることが示された。
そして「総括すること」も忘れっぽさの原因の一つだ。例えば、脳が最後に入ったカフェの細部まで覚えておく必要はなく、もう一度そのカフェに行くか行かないかを決めるためには記憶をまとめて一つの短い印象につくりかえる必要がある。このような印象の数々は、「世界の絵」といったような、何かより複雑な形となる。そしてこれは脳の「スピーディーな記憶」における場所の節約によって可能となる。これと同じ原則が人工知能の根底にも横たわっており、「正則化」と呼ばれている。
リチャーズ氏は「もしあなたの脳が常に細かいことを思い出していたならば、世界に適応するのは難しかっただろう。我々はクイズが得意でいろんな事を知っている人たちを美化している。だが記憶は、1972年にスタンレー・カップで優勝したチームを覚えるためにあるのではない。記憶の課題とは、私たちを適切な決定を下せる賢い人間にすることだ。無意味な情報を忘れることができなければ、これを達成するのは難しい」と説明した。
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