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バルザニ氏は9月下旬、イラクからの独立の是非を問う住民投票を主導。9割を超す賛成票を得て独立に向けた交渉開始を求めたが、イラク中央政府がクルド側支配地域に軍を展開し、クルド側が提案した停戦などに関する交渉を拒否するなどの混乱を受けて約1カ月で退任表明に追い込まれた。
バルザニ氏は29日にテレビ演説し、独立交渉に応じなかったイラク中央政府について「(我々が)住民投票を実施しなくても、攻撃を計画したに違いない」と批判、「投票は消し去れない歴史を作った」とも述べた。また、テロ組織「ダーイシュ(IS、イスラム国)」掃討作戦で協力関係にある米国に対しても、イラク中央政府が米軍の装備を使って自治政府を攻撃したことを看過したと批判した。
一方で、NHKによると、これまで通りクルド人部隊を率いていくとして、今後も自治政府の意思決定に影響力を行使していく姿勢も示した。
バルザニ氏は2005年に議長に選出され、ダーイシュとの戦闘を理由に2015年の任期満了後も議長職にとどまることを自治政府議会から承認されていた。
NHKは、バルザニ氏は退任することで、クルド内部の与野党対立の幕引きを図るとともに、イラク中央政府からも一定の譲歩を引き出す狙いがあると伝えている。