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マティス氏は北朝鮮に対し「核兵器のあらゆる使用は米国と韓国による大規模な軍事的報復を北朝鮮に引き起こすことになる」と再び警告した。だが同時にマティス氏は、北朝鮮に交渉のテーブルに戻るよう呼びかけたほか、最も重要なのは、米国の目的は戦争ではなく、北朝鮮の非核化であると述べたことだ。
なぜ声明に矛盾があるのか?
第一に、軍は自分たちの任務を遂行しているようだ。最初の攻撃を行うために必要な部隊や手段のグループが形成された。準備されたシナリオは、集中的な演習における戦場の場で直接訓練されている。また北朝鮮に対する計画された行動のための部隊と手段のグループは、米軍と韓国軍だけで構成されるわけではない。米国がNATOならびに他の一連の国々の部隊と手段を引き入れる意向であるのは明らかだ。これは有志連合を創設する時のいつもの方法であり、これらの有志連合はイラクやユーゴスラビアでの戦争が示したように国連の承認なしに活動する。
2つ目に、マティス氏はその訪問中に恐らく、戦争が始まった場合にはNATO加盟国を含むすべての同盟国の軍(日本も含まれる可能性がある)による大規模な行動が、韓国と日本の大きな損失を防ぐと説得することに成功した可能性がある。MD(ミサイル防衛)の有効性と韓国に対する北朝鮮の砲撃を鎮圧する可能性に関するテーマは、同じ目的を追求している。
軍事的観点から見て、攻撃に向けた大規模な準備が行われているのは明らかだ。だが外交的観点からはどうだろうか?
最近トランプ米大統領は北朝鮮の核問題の解決について、ロシアとの良好な関係が役立つはずだとの考えを表した。ロシアは中国と同様に武力を用いた解決に反対している。これらの状況の中で米国はどうやらロシアと中国に「甲斐のない努力」をさせ、北朝鮮の頑固さという障害に直面させようとしているようだ。そうすれば米国は自分たちが必要だと考える自国にとって都合のいい条件を提示することができる。
なお、米国の専門家らの間では、北朝鮮と米国の仲介者としてのロシアの役割の可能性について執筆するのが流行った。ロシアの政治学者でカーネギー基金モスクワ・センターの所長ドミトリー・トレーニン所長は9月18日付け「ニューヨーク・タイムズ」の記事の中で、ロシアが仲介役を務めるには非常に重要な前提条件があると指摘した。それはロシアが国連安全保障理事会メンバーであること、北朝鮮と国境を接していること、第二次世界大戦以来、金一族と緊密な歴史的関係を有していること、朝鮮人にはロシアに対して否定的な歴史的記憶がないこと、そして1950年から1953年の朝鮮戦争時と北朝鮮の経済復興におけるソ連による支援だ。一方でロシアには北朝鮮の軍事計画を挑発している極東での米国のMD増強は必要ない。極東ウラジオストク周辺でのミサイルあるいは核兵器が関係するあらゆる出来事もそうだ。要するにロシアには朝鮮問題で仲介者を務めるための客観的な可能性と主観的根拠がある。いずれにせよ、権威ある米国のカーネギー基金はこのように考えている。
ロシアは「正直なブローカー」の役割を引き受けるか?
ロシア大統領府は北朝鮮の一筋縄ではいかない性格をよく知っている。北朝鮮は、武力行使のあらゆる脅威をなんとも思っていないことをデモンストレーションしている。イランの核問題や特にシリアにおけるロシアとの協力に対する米国の非常に矛盾した一貫性のないアプローチは周知の事実だ。トランプ大統領の勝利によって引き起こされた米国内の政治的争いは、米国の外交政策における混乱状態が高まっているという結論を強めるだけだ。
一方で米国もロシアも北朝鮮の核計画を容認していない。同時にロシアにとっては、同問題の軍事的解決も、また米国と日本が支持する経済制裁で北朝鮮に圧力をかけるという方法も容認できない。この件に関してロシアは北朝鮮と共にある。
北朝鮮問題におけるロシアの積極的な役割について話されるのは、11月上旬に行われるAPEC首脳会議でのプーチン大統領とトランプ大統領の会談後になるようだ。この露米首脳会談が実施されればの話だが。