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「練習の後、いろんな考えが次から次へとわいた。今振り返ればそれはいい苦労だったのだと思う。でもあの日の日中は苦しかった。リンクに出たとき、お客さんの応援のおかげで自分の意識を集中させることができたんだ。日本での出場は2度目だけど、ロシアでさえこれだけ僕を歓迎してくれることはないよ。いっそ、日本のパスポート取得をお願いしてしまおうかと思ってしまうほどだ。冗談ぬきでいうと、ユヅルが怪我で出られなかったのにこれだけたくさんの人が試合を見に来てくれたなんて、すごいと思う。会場がほぼ満席のときは滑るのもうれしいものだよ。大阪はこれが初めてじゃなかったから、うちに帰るような気持ちで来た。」
ボロノフ選手は羽生選手が開幕前日の練習で怪我をした瞬間を目撃していた。
「彼が怪我した様子がこの目で見た。あの足はまずい曲がり方だった。でも、立てればきっと大丈夫だと思った。ところが痛みをこらえている様子だ。オリンピックシーズン開始でこんなことになるなんて…。人の気持ちとして当然、本当に可哀そうだと思う。こんなことは誰にも、敵にでさえも起きてほしくない。怪我はスポーツマンにとっては一番嫌なものだもの。」
ボロノフ選手は同じスポーツマンとして羽生選手の心境を思いやっている。
「ユヅルの健康を祈る。どうか怪我が深刻なものではありませんように。4回転を飛ぶ人間にはいつもリスクが付きまとう。ユズル、早く元気になってほしい。ここ(大阪GP)に彼が出なかったことは人として当然、とても残念だ。」
ボロノフ選手は今回、フリーではほぼ10ポイントにせまるミスのない滑りで自己記録最高を達した。平昌五輪出場をかけては、大阪の前に行われた中国GP杯で優勝したミハイル・コリヤダ選手としのぎを削ることになる。30歳と遅咲きではあるものの、だからこそ得られた円熟した演技に注目が集まる。