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キャプラン氏は「頭部は電球ではなく、はずして新しいソケットにつけることはできない。もし頭部と脳を移動して新しい体につないだら、それらは完全に新しい化学的環境におかれ、感覚器官とニューロンの新たな組み合わせにつながれることになる。その人物は、拒絶反応や感染で死ぬよりも先に、気が狂ってしまうのではないかと思われる」と語った。Live Scienceが伝えた。
2015年2月末、イタリアの外科医セルジオ・カナヴェロ氏が、希望者の頭部をドナーの体に移植するという大胆なプロジェクトの始動を発表した。そして車椅子の生活を送っているロシア人のワレリー・スピリドノフさんが、頭部移植の手術を受けることに同意した。スピリドノフさんは、筋萎縮が徐々に進行 する重度の遺伝病「ウェルドニッヒ・ホフマン病」を患っている。
なおカナヴェロ医師に対する神経外科医たちの意見は分かれた。手術が成功するとの確信はないものの原則的に頭部移植の可能性を排除しない医師たちもいる一方で、頭部移植は冒険であり、手術の失敗は避けられないと考える医師たちもいた。
キャプラン氏は「我々はニューヨーク大学で顔面組織の移植に関する実験プログラムを実施しており、すでに今現在これは非常に難しい課題であると言うことができる。顔面組織の移植を受けた患者は、免疫を抑制する大量の薬を常に服用しなければならない。頭部移植はさらにたくさんの薬を必要とし、感染あるいは拒絶反応が数年後に患者を殺してしまうだろう」と語った。
しかし学術界の懐疑的な見方があるにもかかわらず、カナヴェロ医師と同氏と唯一考えを同じにするハルビンの大学の中国人神経外科医レン・シャオチン氏はマウスとサルの頭部移植を行った。そして先週、カナヴェロ医師は、遺体の頭部を別の遺体に移植する手術が成功したと発表した。