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手術をしたイ・グクチョン教授は、「外科医になり20年以上だが、教科書でしかこんなものは見たことがない」と驚きを示した。
スプートニクは、他国と比べた北朝鮮での人糞使用における問題点について、セチェノフ名称モスクワ国立第一医科大学のマルツィノフスキー記念医学寄生虫学・熱帯媒介性疾病研究所のアレクサンドル・ルカシェフ所長にコメントを求めた。
「飢えやただ厳しい食糧事情のとき、発酵させずに糞尿を肥料として用いる誘惑が農家に生まれる。しかし肥料として用いることができるのは堆肥化した後のみだ。もしこれを遵守すれば問題は起きない。だが、できるだけ早く食料を育てたい時、ルールを破るものが出る。また、下水は殺菌されない。そして脱北者の体内に見つかった回虫の卵が人糞とともに体外に出る以上、灌漑用に下水を用いることは危険だ。」
スプートニク:回虫はいかに体内に入るのか?
「洗われていない手やフルーツ、野菜を通して。感染した人の体外に便とともに出る回虫の卵は、そのままでは人に感染しない。最低2週間土壌にいる場合のみ、感染力をもつ。」
このため、回虫に感染した人物が私たちの周りに現れても、衛生措置を守る限りは感染のリスクをもたらさない。
ではなぜ、脱北者の体内から寄生虫が見つかったケースはこれほどの反響を呼んだのか?いかに韓国の外科医を驚愕させ、記者会見まで開かせたのか?
「何よりも、これは北朝鮮での厳しい状況に意識を向ける試みだ。だが、韓国の医師がこうした寄生虫を見たことがないとは驚きだ。彼らの説明からすると、これは普通の回虫だからだ。そして15〜35センチは平均的なサイズだ。とはいえ、もし体内に1、2匹でなく、(例えば50匹の)かたまりがあったならば、確かにそれはまれで、非常に重篤な症状を引き起こす非常に高い感染力を持つ。」
「不思議なことに、寄生虫は長時間、全くヒトを悩ませない場合もある。しかし時折、倦怠感、腹痛、免疫力の低下が起きる可能性がある。便の分析や顕微鏡検査で寄生虫は見つかる。そして、寄生虫がヒトに対して世界的な脅威をもたらさないとは言え、良いものではなく、取り除く必要がある。また、最も危険な寄生虫は腸にいるものではなく、肌の下に住む寄生虫だ。これらは発見が難しく、治療が困難だ。また、寄生虫に対する予防接種はない。」
スプートニク:国に寄生虫が広まる状況は何に左右されるのか?
「寄生虫は世界各国で見られる。しかし、広まりは衛生レベルに左右される。非常に高い農業文化や高い衛生文化のある国では、寄生虫は実質的にありえない。そのため、日本や西欧のどこかで回虫などを見たことがない医者もいることは十分考えられる。だが、東アジアや東欧諸国では非常に広範に分布している。対策はなされているが、予防として衛生より優れた対策はまだ何も考案されていない。」
しかし、21世紀は情報技術と学術的ブレークスルーの世紀であるにも関わらず、戦争と移民危機の時代でもある。NHKによると、厚生労働省は大量の難民が日本に来た場合に備え、感染症の予防や拡大を防ぐ対策を検討する研究案を立ち上げた。
では、人間にとって最も危険な寄生虫とは?
最も恐ろしい寄生虫の1つに、メジナ虫(ギニア虫)がいる。インドなどで見られる寄生虫で、体長は最大1.5メートルに及ぶ。肌の下に住む。メジナ虫は一生の間に複数の寄生主を必要とする。最終的な寄生主は人間や犬、猿。それまでは水生生物に寄生する。感染した人間には機能不全が起きる。