バズーカ砲を抱えたハリネズミ、戦車に乗ったリス―北朝鮮における子どもたちの戦争と平和の教育方法

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銃撃戦に爆発、流血や死体の山… 朝鮮民主主義人民共和国のアニメ「リスとハリネズミ」ではありとあらゆる場面に遭遇する。北朝鮮の最初の連続アニメプロジェクト作品であり、最も有名な北朝鮮アニメの一つとされている。北朝鮮では誰もが、後方撹乱を担う勇敢なリスたちの話を聞いたことがあるだろう。彼らは機転をきかせ、悪者イタチの計画をTNT爆薬で破壊するのだ。現代の北朝鮮の子どもたちが見ているアニメと、彼らが志すべき偉業として幼稚園のときから養育される内容に関し、スプートニクでは資料を入手した。

スプートニク日本

主体思想か死か

伝説的な「リスとハリネズミ」の試験的なシリーズは、1977から82年までの放送当時としては珍しくスパイ劇を含む戦争作品であった。「花の丘」の善き動物たちが好戦的なイタチとネズミからの攻撃に対抗し、シリーズ全編にわたって悪しき軍隊のイタチ司令官やオオカミ司令官との戦闘を繰り広げる。偵察兵であるリスたちの部隊は、特殊部隊のハリネズミとカモの飛行隊の支援を受け、追跡から逃れてイタチらによる秘密計画の情報を入手し、その攻撃の阻止に次々と成功していく。

説明するまでもなく、作品中の善良なリス、ハリネズミ、カモは北朝鮮国民を象徴しており、悪者のイタチ、オオカミ、テン、ネズミは米国とその「操り人形」の韓国の人々を指している。

第2シーズンでは、新たな登場人物などを加えてシリーズを若返らせようとしたものの、その試みはあまり上手くいかず、2012年の第32シリーズで制作は打ち切られた。

忌まわしいヤンキー

それでも今なお「リスとハリネズミ」の主役は最も有名なアニメキャラクターの一つとされており、子どもたちも幼稚園のときから親しんでいる。戦闘を題材に暑かったこのアニメシリーズはとうてい子ども向けと呼ぶわけにはいかないが、半世紀以上にわたり米国との終わりなき戦争状態にある北朝鮮にとっては、これら多くの戦闘場面は理解可能で受け入れられるものなのだろう。敵はもっと残酷で、平和な祖国を常に抑圧し挙句には完全に殲滅しようとさえする計画を練っているのだから。

だが全体的に見れば、「リスとハリネズミ」はかなり中立的な作品だと言える。北朝鮮アニメーションの黎明期には、敵は動物を擬した形ではなく、具体的な米軍兵そのままに描かれていたからだ。
その最もわかりやすい例として、「実際の出来事にもとづいた」とされる1960年代前半のアニメ「燃え尽きたニクバエ部隊」を挙げることができるだろう。作品中では、米軍が朝鮮戦争時、コレラに感染した虫による生物兵器の使用を試みたことが説明されている。

だが北朝鮮アニメの全てが米国による攻撃の恐ろしさや延々と続く銃撃ばかりを描いているわけではない。おそらく「リスとハリネズミ」は、子ども向けの平和なアニメ作品全体の中では例外的な存在なのだろう。

祖国の守護

1982年に第一作が放送された「若き将軍」は、北朝鮮アニメ史において最も有名かつ長寿作品の一つとされる。「若き将軍」は、古代の高句麗国の若者が将軍へと成長していく話だ。このアニメは視聴者に好評だったため、6年後にシリーズが再開され、ストーリーも発展していった。最終的には主人公は本物のスーパーマンへと変貌し、いともたやすく敵軍を崩壊させるのみならず、ミサイルのように飛ぶ能力も身につける。因みに主人公の名「スヴェメ(槌)」とは、その人物像をよく表している。

スヴェメは異国の敵軍を打ち破り、筋骨たくましい禿げ頭の野蛮人との最後の戦いでその喉に槌矛を突き通して倒した後、英雄の栄誉を得る。やがて将軍の等級を受けたこの若き勇士は、仲間や祖国のために自身の犠牲を厭わない若者たちの良き見本となる。しかし第50話あたりで脚本家の想像力が枯渇したのか、1997年のシリーズで終了。その後、時を経て2015年、金正恩氏の個人的な命令によって再び蘇った。

大したアライグマさん

外国からの脅威との戦いや国家の強化といったテーマとは別に、スポーツなどの競争も北朝鮮芸術では頻繁に取り上げられる。このテーマで圧倒的な地位を占めているのは「賢いアライグマ」という作品だ。競争種目が当初の追撃砲で競う大会からやがて民間スポーツ種目に移行していく中で、主人公のアライグマは長年にわたり北朝鮮アニメの中心的キャラクターとなった。本作は1987年から2012年までに計63シリーズが制作された。

仲間の子熊や子猫の中では特に敏捷でも力が強いわけでもないアライグマだが、断崖コースを含むカーレースに参加し、野球やウェイクボードの習得を目指す。そして最後には平静さと機転を活かしたアライグマが必ず勝利するのだ。また、冷蔵庫マシンから友達を救出したり、ビッグフット、小惑星の攻撃から脱するといった冒険も経験する。

奇跡の野原

北朝鮮アニメ独特のサブジャンルとして、様々な農作物を題材に取り上げ、その優れた点を描いた作品がある。アニメ「香り高い渓谷のジャガイモ」(2000年)では、擬人化したジャガイモ特別隊員が米とトウモロコシを助けるための増援部隊となり、化学砲と組んだ虫の攻撃を容易に撃退する。物語は、有益な製品となる品々を称える描写で終了する。因みに大豆も有用性が高いことがわかり、評価される。

更に価値の高いものとされるのがキノコだ。僅か3グラムから栽培できるという言葉を信じない秤たちは菌糸の測量を当初は拒んでいたが、やがて収穫の時期を迎えたとき、その光景に歓喜する。

教育アニメの台頭

北朝鮮では近年、平壌のごく普通の生徒の日常生活が描かれた教育アニメも多く作られるようになった。これらのアニメ作品では、定められた薬を時間通りに服用すべき、動物に餌を与えすぎてはいけない、芝生の正常な成長のためには水浸しにしてはいけないといったことを教えている。道路交通規則については全15回から成る1つのシリーズが制作されるほどの力の入れようだ。

低年齢向けのアニメシリーズもある。就学前幼児たちの社会競争では(編集部注:社会主義の象徴である)「赤い星」の数が争われるため、どのような振舞をすればこれを多くもらえるのかについて説明されている。だが教育アニメでは全体として、未就学児よりも上の年齢の児童を対象としたものの方が多い。例えば北朝鮮の今どきの児童は、地震の接近を知る方法だけでなく、同国政府が計画中の宇宙開発に関する質問に答える術も熟知すべきだとされている。

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