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北朝鮮に詳しいアレクサンドル・ラニコフ氏はロシア紙「イズベスチヤ」に寄稿し、金正恩氏が2013年に開始した経済改革の第1段階は完全に完了したと考えても良いと指摘した。2012年「6月28日訓令」のおかげで、現在は実質的にすべての北朝鮮の農業は家族契約の原則のもとで機能している。国家は長期使用のために土地を「生産班」に配分し、そこから収穫量の10%から35%を得る。残りの収穫は農家のもとに残り、市場で売られる。
さらに、ラニコフ氏が指摘するところ、新たな法律は、国営企業の看板のもとに実際には自身の金銭を投資し、オフィスを経営する民間投資家が機能しているといった、すでに確立した図式を合法化する。これはつまり、起業家の新興階級は自信を持って未来を見ることができるということだ。さらに、経済改革の最初の結果はすでに出ている。2016年度の収穫は北朝鮮史上最多となった。GDPは対外的な制限にも関わらず、1999年以来はじめて3.9%の伸びを記録した。
しかし、国際制裁は北朝鮮の貿易を大きく制限し、注目に値する成長傾向を弱める可能性がある。韓国の専門家によると、鉱物資源の禁輸は北朝鮮のGDPを2.5%減少させ、1998年以来の最大の低下となる。2018年には韓国の情報機関が予測するところ、、北朝鮮経済のGDPはさらに5%低下し、近年の全ての成果が水泡に帰す可能性がある。
最近、北朝鮮から矛盾するような報道が入っている。一方では、消費者物価が急上昇し、他方では2017年、北朝鮮は益々多くのチョコレートやビールといった「高級食材」を輸入している。これに加えて、11月の北朝鮮市場での穀物価格は一年前よりも低くなっている。これは、今年度の収穫量が良かったことを物語っている。そのため、1990年代中順に北朝鮮が直面した大飢饉はもう、北朝鮮を脅かさない。
近年の大きな経済成長に関わらず、北朝鮮は依然として世界で最も貧しい国の1国であり続けている。しかしここにも利点があるのかもしれない。成長の大きな可能性が残っているということだからだ。実際に示されたように、管理における簡単な変革により北朝鮮は非常にいい結果を出すことが出来る。今後もこうした成長率を続けられるかは誰も知らない。しかし、北朝鮮内部のリザーブはどうやら、長い間、足りるようだ。