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「ABC予想」は1980年代に提示され、現代整数論の未解決問題として長い間残ったままだった。この予想を証明するため、望月氏は新たな数学的手段「p 進数タイヒミューラー理論(p-adic Teichmüller theory)」を構築した。ABC予想について、この理論に基づいて組み立てられた証明を評価するために、英オックスフォードと京都で2回にわたって国際会議が開かれた。現在、この証明について討論できる能力のある人の数は20人とみられている。しかし、これら「身を捧げた人々」の中に、望月氏の論文をより広い範囲の研究者らに説明できる人が一人もいないことがわかったため、学会は依然として懐疑的な態度を崩していない。
今回のニュースについてニュージーランド・カンタベリー大学の数学者、フェリペ・ヴォロシュ氏は、「掲載に向け(論文が)受理されたという事実は、私にとっては何かを変えるものではない。依然として私は、理解できる形での説明を待っている状態だ」とコメントしている。
望月氏は、ロシアの数学者であるグリゴリー・ペレルマン氏と比較される。ペレルマン氏は、「ミレニアム問題」の一つ、「ポアンカレ予想」を証明したことで知られる。2006年には「フィールズ賞」、10年には米クレイ数学研究所からミレニアム問題の一つを解決した業績に対し賞が授与されることが決まったが、ペレルマン氏はこれらの受賞を辞退した。その後ペレルマン氏は研究活動を中止し、メディアによる取材を拒否している。
望月氏は1969年東京生まれ。16歳で米プリンストン大学数学科に入学し、1994年に日本に帰国した。同僚らは、望月氏が数学の問題を解く際高い集中力を発揮すること、米国文化を嫌っていること、日本を去る気がないことを指摘している。
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