年越し写真展「ロシアの夜明け」開催間近:日露をつなぐモスクワ写真部

© 写真 : Masaki Nakamuraロシアの夜明け
ロシアの夜明け - Sputnik 日本
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日露交流年の幕開けにふさわしいイベントがまもなくスタートする。日本とロシアを舞台に活躍する写真家、中村正樹氏の個展「ロシアの夜明け」が12月29日から1月3日まで神奈川県藤沢市の「Gallery-T」で開催されるのだ。中村氏は昨年まで6年間モスクワに滞在し、広大なロシアのあらゆる場所で撮影を行なってきた。

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中村氏は自身で撮影するのみならず、写真を通した日露交流にも積極的に取り組んでいる。中村氏はモスクワ在住時の2011年に「МФК PHOTOS」(モスクワ写真部)を立ち上げた。

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当初は写真家仲間や映画関係者などが中心だったが、徐々に写真好きの輪が広がり、カメラが趣味の日本人やロシア人もメンバーになった。入会希望者はどんどん増え、発足から6年経った今では日本人駐在員の帰国によって日本にも支部が誕生。モスクワと日本でおよそ100人ずつ、合計200人ものメンバーを抱える大所帯となった。モスクワ写真部は月例会のほか様々な展示会に出品したり、ロシア人写真家を招きワークショップを行なったりしている。

中村氏は「ロシアの印象的な風景は、空の広さと、夜明けや日没の美しさ」だと話す。緯度の高いロシアは黄昏時の時間が長く、その時間には特に美しい写真が撮れるという。また、日本と違って道幅が広く高層ビルが乱立しているということもないので、空が広く感じるのだ。

© 写真 : Masaki Nakamuraモスクワのシェレメチェボ空港
モスクワのシェレメチェボ空港 - Sputnik 日本
モスクワのシェレメチェボ空港

中村氏「ロシアのどの都市にもロシア正教の教会のクーポル(たまねぎの形をしたドーム型の屋根)があったり、ソ連時代からの街並みがまだ残っていたりして、情緒を感じます。一番きれいだと思ったのはキジ島で、木造教会は圧巻でした。ノヴォシビルスクの大劇場も素晴らしく、感動しました。お客さんが入っていない時間帯に劇場に入れてもらい、ロシアの偉大さと芸術に対する尊敬の念を感じたことは、とてもいい思い出です」

© 写真 : Masaki Nakamuraカレリア共和国・キジ島の木造教会(世界遺産)
カレリア共和国・キジ島の木造教会(世界遺産) - Sputnik 日本
カレリア共和国・キジ島の木造教会(世界遺産)

中村氏は、「ロシアにはダークな部分もあるということを見せたい」と話す。その気持ちから、世界で一番汚染された町と言われている「カラバシュ」にまで足を運んだ。カラバシュはウラル地方の大都市チェリャビンスクの近くに位置している。古くから銅の採掘・製錬所があり、長い間環境に配慮してこなかった。現在でも1万人以上が住んでいるが、町は活気もなく殺風景だ。中村氏は写真撮影に夢中になりすぎ、汚染水の沼にはまってしまった。展示会には、健康リスクを冒して撮影した写真も出品される。

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本稿のトップ写真になっているのは、中村氏が冬の早朝に撮影したヴォルゴグラードの「母なる祖国像」だ。ヴォルゴグラードは1925年から61年までスターリングラードという名前だった。現在でこそ観光地になっているが、ここは第二次世界大戦で最大規模の戦闘「スターリングラード攻防戦」が行なわれた場所であり、200万人超と言われる膨大な犠牲者を出した。この戦いでソ連がドイツに勝利したことが、歴史の転換点となったのだ。ヴォルゴグラードでは、6月28日にサッカーW杯の日本対ポーランド戦が行なわれる。中村氏は、「ここはロシア人にとって特別な土地。日本から観戦に行く人は、少しでもヴォルゴグラードの歴史を知ってから訪れてほしい」と話す。

母なる祖国像は、多くの場合真正面から撮影されるが、中村氏はあえて夜明けの太陽を入れることを決め、雪が降り積もった深夜から山に登り、朝日が出るのを待ってシャッターを切った。真冬の寒さに震えながら、暗闇の中で待機して撮影できた渾身の一枚だ。

中村氏は展示会の目的について「隣の国なのに、日本人はロシアのことをあまりにも知らなさすぎますし、興味をもっている人も少ない。ロシアにはこんなに美しい風景があり、面白い人たちがいるということを知ってもらいたいのです。この展示会が少しでもロシアに興味をもつきっかけになれば」と話している。

「ロシアの夜明け」写真展概要

場所:Gallery-T 神奈川県藤沢市片瀬海岸1-9-10

アクセス:小田急線・片瀬江ノ島駅より徒歩5分、江ノ電・江ノ島駅より徒歩2分

湘南モノレール・湘南江ノ島駅より徒歩3分

会期:2017年12月29日(金)~ 2018年1月3日(水)

時間:午前10時から午後6時まで(最終日は午後5時まで)

入場料:無料

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