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① 学者たちは、中性子星の合体による重力波を初めて観測した。この現象は、レーザー干渉計型重力波検出器の他、宇宙や地上の電磁波望遠鏡を用いて観測された。2つの中性子星は、それぞれが太陽とほぼ同じ質量を持つが、半径は10キロから20キロ未満という超高密度の天体。重力波の観測に初めて成功したのは2015年9月だが、その時は2つのブラックホールの衝突によるものだった。
② 米航空宇宙局(NASA)は、太陽系からわずか40光年先に地球と似たサイズの惑星7つを発見した。うち3つの惑星は宇宙の中で生命が誕生するのに適した環境とされる「ハビタ ブルゾーン」に存在している。惑星には液体の水が存在する可能性があり、密度の高い大気を有している。太陽系から比較的近い距離にある惑星系「TRAPPIST-1 (トラピスト1)」は、地球外生命を研究する機会をもたらす。
③ EHT(Event Horizon Telescope)プロジェクトに参加する学者たちは、史上初となるブラックホールの画像を撮影するために壮大な実験を行った。天の川銀河の中心にある超巨大ブラックホール「サジタリウスA*」と、おとめ座の銀河の巨大ブラックホールが対象天体となった。撮影のためにメキシコ、アリゾナ、チリ、スペイン、南極、ハワイにある複数の望遠鏡を連動させた「バーシャル」望遠鏡がつくられた。得られた膨大な量のデータを処理し、ブラックホールの画像が初めて得られるのは2018年以降となる。
④ 中国は、同国初のX線天文衛星「硬X線モジュレーション 望遠鏡(Hard X-ray Modulation Telescope;HXMT)」を打ち上げ、宇宙開拓に向けてさらなる一歩を踏み出した。HXMTは、ブラックホール、パルサー、ガンマ線の観測や、新たなX線源の探査を目的としている。中国のX線望遠鏡は、外国のX線天文衛星よりも視野が広い。HXMTは、これまではその実行に複数の衛星が必要とされていた課題を遂行することができる。
⑤ 米スペースX社は、「ファルコン9」ロケット第1 段部分の再利用に成功した。打ち上げられた「ファルコン9」の第1弾部分を帰還させ、再び打ち上げることに成功した。将来的に「ファルコン9」のブースターを10回まで利用できると考えられている。徹底したメンテナンスを行った後は、100回まで利用可能となるという。これは宇宙産業における確かな一歩だ。
⑥ 土星探査機カッシーニの20年にわたる任務が終了した。カッシーニは土星とその衛星、環を調査し、土星最大の衛星タイタンに探査機「ホイヘンス」を投下した。カッシーニの画像は、学者らが土星の新たな環を発見し、あまり研究されていない土星の動きについて新たに多くの知識を得ることを可能とした。任務を終えたカッシーニは土星の大気圏に突入し、燃え尽きた。
⑦ 古生物学者らの国際的グループは、カナダ・ケベック州のヌブアギツク・スプラクラスタル・ベルトで世界最古の微生物の痕跡を発見した。この痕跡は43億年前のものと見られている。なお地球が誕生したのは約46億前。化石化した微生物は、数十億年前に熱水源の水の中に生息していたとみられている。興味深いのは、この時期に火星に液体の水があったことだ。火星にもこの時期、生命が存在していた可能性がある。
⑧ そのゲノムが人のゲノムに近いブタは、人間の臓器のドナーになるのに最も適している。だがブタ内在性レトロウイルスが、ヒトの細胞に感染する恐れがある。ブタの臓器を人間に移植する際にこの問題を避けるために、米国のこのバイオテクノロジー企業eGenesisが、ブタ内在性レトロウイルスを保有しない遺伝子組み換えブタを作製した。有害なウイルスが実験用ブタのDNAから除去され、その後、クローニング方法によってブタ内在性レトロウイルスを保有しない遺伝物質が普通のブタの卵細胞に注入され、健康な子ブタ37匹が生まれた。現在、学者たちは人間の免疫システムとブタの臓器の完全なる適合性の課題に取り組んでいる。
⑨ ユニークなX線自由電子レーザーの利用が開始された。これは、粒子加速器を搭載したハイブリッド顕微鏡で、そこでは電子が光速近くまで加速する。これは現時点で同タイプとしては最も強力で最も明るいレーザー。同レーザーのユニークなパラメータは、ナノ粒子分野における新たな発見を可能とする。同レーザーは、超小型の構造、非常に速いプロセス、極端な状況を研究するためのもの。学者たちは同レーザーを用いて新たな薬剤や材料をつくる計画で、レーザーはエネルギー、エレクトロニクス、化学の各分野の研究に使われる予定。
⑩ ブロックチェーン技術の記録的な成果は、金融界のみならずテクノロジー界の出来事でもある。2017年、全仮想通貨の時価総額は30倍に増え、5000億ドルに達した。専門家らはビットコインについて、デジタル経済の未来だと考えている。さらにブロックチェーンは選挙の実施、地方分権化された組織の管理、資金調達など、人々の間に信頼関係がなく、仲介者を避ける必要のあるあらゆる場所で使用することが可能だ。