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昨年11月に発売されたiPhone Xへの熱狂的な関心はまもなく落胆に変わる。次々と欠陥が発覚したのだ。Appleのフラッグシップ機iPhone Xは寒いと反応が鈍り、音割れし、タッチ操作不能になり、持ち主以外の顔でもロックを解除する…。10月の予約注文で一気にiPhone Xを売ると、Appleは同機の生産量を削減。2018年第1四半期には需要が目立って落ちた。
米国では集団訴訟が提起され、原告は約1兆ドルを請求。ロシアで初めてこの件で訴訟を提起したのはモスクワに住む弁護士のアンドレイ・クリュチニコフ氏だ。
クリュチニコフ氏はスプートニクに「メーカーが意図的にスマートフォンの速度を落とし、新たなモデルを買うよう私たち消費者を促していたことを前から疑っていた」と語る。クリュチニコフ氏によると、昨年末にはiPhone6が「もう全くひどく動く」ようになった。
クリュチニコフ氏は「形式的にはスマートフォンは自らの機能を果たしている。電話やネット検索、アプリ使用が可能だ。だが、非常に大きな遅れとともにこれら全ては行われる。しかも、アプリは頻繁にフリーズし、落ちる。ウェブブラウザの『Safari』にも問題がある」と語る。これは古いiPhoneの所有者の多くに覚えがある問題だ。
批判に直面したAppleは火消しを試みた。同社は米国でバッテリー交換プログラムを79ドルから29ドル(日本では8800円から3200円)に引き下げた。だが不健全な大混雑が発生。多くの消費者はバッテリー交換を予約し、一部の店舗では待ち時間が数日にまで伸びたのだ。
英銀行バークレイズは、バッテリー交換の新たな図式によりiPhoneの売上が激減すると見ている。バッテリーの劣化こそが新モデルの購入の主な動機だからだ。バッテリー交換が今や格段に安く、性能アップにつながることを考慮すると、2018年のAppleの売上は予測より1600万ドル(約17億円)下がり、100億ドル(約1兆1000億円)の損失が出る可能性がある。
短期的な損失をAppleは耐えきれるだろうが、勢いを増す今回の信頼性の危機は長期的で極めて悪い影響を及ぼすだろう。