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大多数の西側諸国によるロシアに対する共同の外交的措置のイニシアチブを取ったのは、英国のテリーザ・メイ首相だ。同氏はEUサミットでロシア外交官の追放について、ロシアの脅威を前に西側世界の連帯を強化するはずだと主張した。
- パラドックス
一方、西側の主要な統合プロジェクトの分裂に最も大きな「貢献」をもたらしたのは、EU離脱(ブレグジット)を発表した英国だ。なおブレグジット物語は、終わりからは程遠い。
また英国とEUの骨の折れる交渉は、果てしなく続く欧州の移民問題を背景に行われており、EUの古い加盟国とポーランド、ハンガリーといった新たな加盟国間の意見の相違の高まりや、ロシアというよりはむしろ米国の新孤立主義によって引き起こされた安全保障問題もある。スクリパリ事件をめぐる運動は、これらの問題解決に役立つのだろうか?あるいは世論の関心をしばらくの間別の話題に向ける必要があるのだろうか?いずれにせよ、スキャンダルに対する世界の指導者らの反応は、現代世界における政治的勢力配列について結論を出すのを可能とする。
- 勢力配列
なお露米関係悪化の新段階は、開催される可能性のあるプーチン大統領とトランプ大統領の2国間会談に向けた準備には影響を与えていない。これは米高官による外国人ジャーナリスト向けのブリーフィングで強調された。米高官は「首脳会談に関する3つ目の質問への答えだが、これはその準備には影響していない」と述べた。
ロシアの戦略的同盟国である中国はロシアへの攻撃を批判した。もちろんBRICSや上海協力機構の他の加盟国による外交的措置も一切ない。EUとNATOを除く世界は、この件に関して米国とその大西洋の同盟国に加わってはいない。別の言い方をするならば、米国が指導的地位にある範囲は、EU、カナダ、オーストラリアと今や一新されたということだ。この範囲はオバマ政権下と比べると大幅に縮小した。
- 新構成における日本の位置とは?
スクリパリ事件に対する日本の静かな反応と、外交官追放運動には加わらずに無視するという日本の態度は、これと関係しているのかもしれない。今年5月の安倍首相のサンクトペテルブルク訪問に向けた準備も進められている。結局のところ、政治的計算に加えて、常識があるのだ。