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この風力発電機は、ロシアにおける風力発電の経験をもつ駒井ハルテックが、現地の環境を分析し、特別に開発したものだ。ティクシは1月の平均気温がマイナス40度にもなる極寒の地域とあって、従来の風車より更に耐寒性を強めたものになっている。
ティクシは、気候も厳しいが、物資の輸送も大変だ。風力発電機の部品はウラジオストクからヤクーツクまで陸路で運ばれた後、7月下旬にはレナ川を利用して河川輸送を行なう。8か月も冬が続くティクシでは、夏の間しか作業ができないため、建設は2段階にわけて2年越しで行なわれる。今年の夏には風力発電機3基が建設され、来年の夏にはディーゼル発電機、蓄電池によるエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた「ポーラーマイクログリッドシステム」が構築される。風車の建設にかけられる時間はおよそ2か月しかなく、もしレナ川の雪解けが遅れれば、工期にも影響が出る。風車建設にあたっては日本の専門家が現地に派遣される。
この風力発電プロジェクトは日本がロシアに提示している8項目の経済協力プランの「エネルギー開発協力」に含まれるもので、NEDOおよびロシア国営電力大手のルスギドロ、サハ共和国政府が関わっている。三者は今年2月、「風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業」の実施にかかわる協力覚書(MOC)を締結した。
実証事業は2021年2月まで行なわれる。このプロジェクトにより、年間で16%のディーゼル燃料が節約できる見込みだ。
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