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列車は、設備や安全の点では申し分ない。無料寝台としてあてがわれたのはクペーと呼ばれる二等寝台で、ひとつのコンパートメントに4人が泊まれるようになっており、鍵がかけられる。車両の端または両端には、トイレ・洗面が設置されている。一部の方面には二階建て列車を含む最新の車両も導入。一般の有料寝台車では別料金となっているシーツや枕カバーなどのリネン類も、無料で使用できた。
今回の目玉、FIFAの無料寝台列車が発車しました。無料でどうなのと思ってましたがなかなか快適です。これでサランスクーモスクワを往復します。クーラーも効いてて、これは意外と寝れそうです。 #ワールドカップ — 場所: カザンスキー駅 https://t.co/HWUYnyXnh0
— タナーカ 6/17からロシア (@tana_aaka) 18 июня 2018 г.
無料寝台は当該の試合のチケットを持っている人だけが予約できる仕組みだが、予約開始早々に枠が埋まってしまった。それを受けて5月上旬、ドヴォルコヴィッチ副首相(当時)は、特に需要の高い方面の列車を増便することを約束。実際に増便されたが、それでも希望者が全員乗車できるほどの席は確保できなかった。また、無料であるが故に、実際には乗らないのに、キャンセル手続きをしない人が発生した。
それでもあきらめずに直接駅に行き、無料列車のチケットを確保できた人もいる。そのうちの一人が、アルゼンチンの有名なサポーター、カルロス・トゥーラさん(77歳)だ。カルロスさんは太鼓名人で、1974年からずっと、W杯には欠かさず応援に駆けつけている。ロシア鉄道側も無断キャンセル対策として、一部の乗客に乗車予定の確認作業を始めた。結果、乗車しない人がいることが確認され、サンクトペテルブルクからフランス戦があるカザン行きの切符を手に入れた。
広大な国土のため、数時間携帯電話の電波が入らない場所があったり、モニターがあるのに何も表示されていなかったり、WI-FIのマークがあるのにWI-FIがない(弱い)などの問題はあったものの、サポーターたちはおおむね問題なく移動できた。無料寝台に限ったことではないが、ロシアの列車の旅の醍醐味は、同室の人と仲良くなって異文化交流ができることだ。多くの日本人サポーターが、同室の人々と楽しい時間を過ごした様子をツイッターなどで共有している。
寝台列車は基本24時間以上なので、同じ部屋になった人も仲良くなるし、レストラン車両の飲み会だったり、途切れ途切れの電波つかんでスマホで試合中継見るのでみんなでワイワイするのがすごくたのしかった😆 pic.twitter.com/opx8F9NMV1
— / (@1qbz) 15 июля 2018 г.
今日はサマラ行きの寝台で仲良くなったロシア人カップルにモスクワ案内してもらってご飯もおごってもらって今一緒に準決勝見てる。
— K14 (@koptaish) 10 июля 2018 г.
ほんとめっちゃ良い人たち!
日本来てくれたらめちゃめちゃ恩返しするから!!! pic.twitter.com/3WOX3o5kR6
2022年のカタールにおけるサッカーW杯でも、ロシアの成功例にならい、無料で交通手段が提供される可能性が検討されている。
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