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今、法案はまだ草案であり、採択されない可能性もある。ロシア高等経済学院の専門家で日本研究家、そしてNHKやTBSモスクワ支部の元職員でもあるアンドレイ・フェシュン氏はそう述べた。
だが、ロシアに対する米議員のレトリックは、米露が新冷戦時代に突入したという証拠をより多く提出する。冷戦は何より経済的なものだが、米国が勝者になるとは限らないとフェシュン氏は見る。
「現在の露米対立は多くの点で、1989年に天安門広場で起きた悲劇的な事件のあとの対中制裁の歴史を思い出させる。中国は世界で実質的に孤立し、膨大な圧力が加えられた。中国経済の崩壊が見込まれていた。だが、そのときに中国の地方で大きな成長が始まり、それだけでは終わらなかった。中国は制裁をうまく乗り越え、より強くなって抜け出した。今日のロシアも同じ道を進んでいると言うことができる。」
現在、米議員らの草案は宣言的で国内向けだと、ロシア経済誌『エクスペルト』のアナリスト、アンナ・コロレワ氏は指摘する。
「11月、米議会で選挙が行われる。このため、次の数カ月は米国内の対露レトリックは強まる一方だろう。対露制裁のテーマは米国で言語的な投機の対象だ。議員は今、PR競争でこのテーマを誇大広告している。」
だが、選挙前の政治的ヒステリーの拡大には、市場という要因を無視できないとコロレワ氏は見る。この市場の要因に基づいてブルームバーグは、新たな制裁の影響は予想が難しく、その効果はロシアだけでなく、米国の投資家や企業にも影響する可能性があると指摘した。
劣らず重要なほかの市場要因もあるとコロレワ氏は述べる。
海外の投機家・投資家の金の無秩序な出入流は避けられないルーブルの弱体化を招く。だが致命的にはならない。また、制裁は、法案への署名以降に作られる新たな国債だけに関係する可能性もあるとコロレワ氏はまとめる。
ロシア国債への制裁発動の可能性に対するロシア財務省の反応はまだかなり懐疑的なものだ。同省は、こうした提案は以前も出されていたが、結局実現しなかったと指摘する。
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